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旋風にかすんだ民主
「小泉改革の痛みは弱者や国民の生活を直撃する。それが分かっていながら、十分な支持を得られなかった。力不足だ」
参院選開票日の翌日、民主党県連の五島正規代表(衆院議員)は悔しそうにつぶやいた。
民主党県連は昨年の衆院選高知2区で健闘した中村久美氏(41)を擁立し、社民、自由両党の推薦を得て臨んだ。当初中村陣営は、三党が衆院選で獲得した比例票(計十二万四千票)を目標に「自民、公明党の票(計十八万票)はまとまらない。中村氏が十万票に届けば三つどもえに持ち込める」と想定していた。
だが、終わってみれば中村氏の得票は六万一千票。自民党の田村公平氏(54)に八万七千票の大差をつけられ、無所属の広田一氏(32)にも五万一千票引き離された。
保守分裂のあおり
中村氏は選挙前から、持ち前の行動力で知名度アップを目指し、女性の視点から無利子の教育ローン制度などの子育て支援策を訴え、「市民の代表」をアピールした。その一方で民主党県連は、ふがいない党本部にいら立っていた。選挙直前まで小泉純一郎首相の改革路線に対決姿勢を示せなかったからだ。
公示後は、羽田孜特別代表、石井一、横路孝弘両副代表ら党幹部が相次ぎ来援。十六日には小泉首相の来高に対抗し、菅直人幹事長も高知市入りした。しかしそれも、急きょ中村氏の選挙日程の変更を余儀なくされるなど、必ずしも「効果的で力強い応援」とは言えなかった。
川添義明党県連副代表は「異様な小泉人気に選挙全体が左右されている。このままでは小泉旋風と保守分裂のあおりを受け、女性候補としての中村氏の訴えや、改革の中身の論争がかき消されるのでは」と懸念していた。
結局、地方組織が整っていない弱さから、面的な広がりのある戦略を練る余裕もなく、連合型選挙に依存。総合選対本部長として指揮を執る連合高知の足達秀夫会長の表情も、日を追って険しくなった。
独自の比例代表候補を抱える連合傘下の九産別は、非拘束名簿式の導入で候補者名での投票を徹底した。「少なくても各労組は力が入るはず。選挙区とセットで回せば相乗効果が期待できる」(足達会長)としていたが、意に反して産別の動きは鈍かった。
「執行部は動いても末端まで浸透しない。組合はこれほど弱ったのか。比例の票が出なければ、中村氏も伸びない…」。陣営幹部はがく然とした。
投票数日前、中村陣営は戦略を立て直した。社民、自由両党や支援団体の票固めに力を入れる一方、大票田の高知市周辺に運動を集中。雇用、年金、医療・介護の分野で小泉改革に伴う「痛み」を訴え、自民党の利権構造を徹底して批判した。
だが、既に選挙戦は最終盤。広田陣営が急速に支持を拡大し、田村陣営とつばぜり合いをする中、もはや割り込む余地はなかった。結局、産別の比例得票数は目標の五割にも満たず、選挙区は連合型選挙を展開した前回参院選(五万五千票)こそ上回ったものの、課題の無党派層への浸透は図れずに終わった。
今後、小泉改革の中身が明らかになる。社民、自由両党との共闘の在り方や労組の無党派層化を含め、今回の参院選を厳しく総括し、「改革の本家」として来る政治決戦にどう備えるか。民主党県連は、重い課題を背負った。
(参院選取材班)
【写真】「市民の代表を国政に」。中村氏とともに支持を訴える民主党の菅幹事長(7月16日、高知市帯屋町2丁目)
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