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「社会的入院を減らし、在宅介護へ移行させることを目的としていたのに、介護の必要な高齢者はむしろ施設、病院へとシフトしている。在宅介護を国が本気で考えなければ、(介護保険)財政は破たんする」
六月三十日、小泉内閣が香美郡土佐山田町の高知工科大で開いた「タウンミーティング」で、高知市の宅老所代表などを務める佐藤政子さんは介護保険制度への危機感を強く訴えた。
“国家百年の計”の鳴り物入りで介護保険がスタートして一年三カ月。早くも課題が山積している。
県内の六十五歳以上の被保険者のうち、要支援・要介護と認定された人は十二年度末現在で二万四千七百六十三人。要介護度別にみると、「要支援」が制度導入前の計画より5.8%減の三千二百六十九人、「要介護1」は2.9%減の七千百五十一人。これに対し、「要介護4」は2.1%増の三千五百三十人、「要介護5」は6.9%増の一千八百三人。重度になるに従って計画を上回った。
要介護度が重くなるほど、一人当たりに認められる介護給付費は高くなる。全体的に重度の人が多くなれば、介護保険財政を圧迫する。県内では十二年度末時点で十三市町村の介護給付費が計画を上回り、八市町村が赤字分を財政安定化基金から借り入れている。
また重度になればなるほど、特別養護老人ホームなどの施設に入所する必要性が増す。だが特養ホームが足りず、一千五百人以上の高齢者が入所を待っているという現実もある。
佐藤さんの指摘通り、在宅介護への誘導策や介護予防施策なしに施設介護を増やすことは、保険財政を圧迫するだけだ。しかし放置すれば、利用したいサービスを受けられない「保険あって介護なし」の状態が続いてしまう。
しかも、今年十月には高齢者の保険料の半額免除期間が終わり、全額徴収となる。県が十二年度に行った利用者アンケートでは「年金が少なく、保険料の支払いが大変」などと悲鳴に近い声が寄せられている。
タウンミーティングで坂口力厚生労働相は「変えるべきところは早く変えなければいけない」と述べ、制度見直しの時期を早めるとともに、要介護認定の見直しや低所得者に対する減免措置を容認する考えを表明。担当相自らが制度全般の改善点を指摘せざるを得ない事態となっている。
制度再構築の形は
介護保険だけではない。昨年は、厚生年金の給付水準の抑制や支給開始年齢の引き上げを盛り込んだ年金制度の改正、高齢者の医療費の自己負担を定額から一割の定率制にする医療保険制度の改正も行われた。
こうした状況などを反映し、緊急県民世論調査では争点にすべき課題の二位に「医療・介護・年金問題」が上がった。
小泉純一郎首相は五月に行った所信表明演説で「いまだ経験したことのない少子高齢社会を迎える」との認識に立ち、社会保障の在り方について「これからは『給付は厚く、負担は軽く』というわけにはいかない」と述べ、年金、医療、介護の制度を再構築する考えを示した。
世論調査では、「お年寄りになっても暮らしやすい社会に」「安定した社会保障に期待する」と多くの人が意見記入欄に意見を寄せたが、その中には「年金制度の改悪など、働く者の夢や喜びを断ち切るような政策はやめてほしい」と現状への不満、不安を訴えたものも少なくなかった。
小泉首相は「痛みを恐れず」改革を断行するという。その改革が県民の願いにかなうものなのか。対峙(たいじ)する野党の政策の中身はどうか。それぞれの訴えを通じて、十分に見極める必要がある。
(参院選取材班)
【写真】施設介護へのニーズの高さと施設の不足、保険財政の兼ね合い−介護保険制度の改善をはじめ、社会保障の課題は多い
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