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自民、公明、保守の与党三党で安定多数の二百五十四議席▽自民党は二百二十九議席――。自民党の野中広務幹事長が示した森喜朗首相の続投ラインだ。幹事長としての責任ラインでもある。
今回から定数が二〇減の四八〇になるとはいえ、衆院解散時の与党三党の計三百三十一議席、自民党の二百七十一議席からみれば獲得目標はかなり低い。党内からも批判が出るほどだが、それだけ「逆風」が強いということだろう。
五月中旬に本社が実施した緊急世論調査で、森内閣について「よくやっている」とした人はわずか四・一%。「まずまず」(二五・二%)を加えても、肯定的な評価は三割に届かない。逆に否定的評価は四六・一%に達した。
自民党が記録的惨敗を喫し、橋本竜太郎首相の退陣につながった平成十年の参院選。事前の本社世論調査で、橋本政権に対する肯定的評価は今回と同水準の三〇・七%だった。森首相の「日本は天皇を中心とする神の国」発言などで急落した森内閣の支持率に、自民党幹部が危機感を抱くのは当然といえる。
「神の国」発言があったのは本社の調査期間中だったことから、結果にどの程度反映されているかは分からない。ただ意見記入欄には発言に触れたものがあった。
「森首相の発言などトップの不用意な言動が続いているが、思想、政治信条がこぼれ出たものだと思う。今回の選挙で、こうした人たちにノーと言う国民が多数を占めないと、昔の暗い影が復活しそうで不安です」(三十代の女性)
「今までは自民党だと思っていたが、森首相の発言で分からなくなった。上に立つ人は、もっと立場をわきまえてもらいたい」(六十歳以上の女性)
積もり積もった政治、政治家への不信に追い打ちをかけるような森首相の失言。その資質を問う声が高まるのも当然だろう。
高まる「公選を」
さらに森首相誕生の経緯の問題もある。故小渕恵三首相が病気で退陣した後、森首相(当時は幹事長)や青木幹雄官房長官、野中幹事長(同幹事長代理)らによる密室協議で「森後継」が事実上決まった。
派閥の力関係や駆け引きで決まる自民党総裁・首相。今回は密室性、さらに前首相の病状が死後まで説明されなかったことへの疑問も加わった。
「今回の小渕前首相から森首相への交代で、国政が国民の知らないところで行われていると感じた。また、病院側は国に(病状を)報告していたはずだし、それを国民に報告するのは国の責任だ。国政を行う人は、国民不要と考えているのではないか」
二十代の男性はこう指摘する。
仕事ぶりの評価の前に「資質」や「出発点」を問われる森首相。「自分たちが選んだ首相なら、最後まで協力して盛り上げていってほしい」(三十代の男性)という国会議員に対する注文もあったが、首相に対する県民の目は極めて厳しい。
こうした民意を映し出すように、「首相公選制」を求める意見が相当数に上った。五十代の男性は「国民の洗礼を受けて総理となれば、党、派閥を超えてより一層の指導力が発揮できる」。
もちろん、現在の議員内閣制のもとでは有権者が選挙で首相を直接選ぶことはできず、憲法の改正が必要となる。だが、今後も国民不在の首相選びが続くようであれば、「信頼できる首相を自分たちで選びたい」という有権者の声が一層高まっていくのは間違いない。
(衆院選取材班)
【写真】自民党総務会長時代、南国市内で街頭演説をする森首相。衆院選では「資質」も問われることになる(平成10年6月26日)
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