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第4部 物流最前線<7>
【宅配業界】

「早さ」で明石を選択

 大型トラックが頻繁に行き来する高松市東部の物流団地。その一角に日本通運高松支店のトラックターミナルがある。

日本通運高松支店のホーム。10月から関西以東へはすべて明石経由で運ぶ(高松市朝日町6丁目)

 約九千平方メートルのホームのあちこちに通信販売大手、セシール(本社・同市)から集荷した荷物が積み上げられていた。ホームに積んだ荷物はいったんホーム二階へ上げて送り先などをコンピューター入力し、送り先別に小分けして一階へ下ろす。

 ここから出る関西以東向けの荷物は大半が明石海峡大橋を経由して本州へ渡る。

 ■コストより時間

 同社は明石大橋開通後、香川県と徳島県から出る宅配便を明石経由とした。香川の分は現在ごく一部をフェリーで運んでいるが、十月からはすべて明石経由に切り替える。

 「この業界はコストより時間。早さが何より大切なんです。調べたら徳島はもちろん、高松からでも関西方面へは明石を通った方が早い。高松(自動車)道から瀬戸大橋を経由するのに比べると二時間は違いますから」

 トラックターミナルから車で約十分のJR高松駅近く。四国内の各支店を統括する同社四国支店で「ペリカン便」を担当する桧垣博幸・業務部自動車担当課長が「明石シフト」の理由を説明する。

 「コストより時間」。コストというのは無論採算が取れた上でのことだが、この言葉は業界の合言葉のようだ。それが顧客のニーズにこたえることであり、生き残る道でもある。総合物流最大手の同社は、宅配ではヤマト運輸に次ぐ二番手。桧垣課長は「早さは品質です」と強調した。

 宅配便が登場する前は荷物の送り主が運送会社へ持参し、到着したら受取人が出向く。それが当たり前だった。今は自宅へ取りに来てくれるし、荷物を配達する時間帯を指定できるまでになった。業界は受け取った荷物を翌日配達できるエリアを広げ、新しいサービスも次々と生み出している。

 ■「より早く」

 もっとも、同支店はまだ高知、愛媛両県から出る荷物は従来通り、瀬戸大橋経由で運んでいる。

 九年度の四県別月間平均取扱個数を見てみよう。冒頭のような通販会社発送分のある香川は百八十五万個と圧倒的に多い。次はぐっと落ちて愛媛の二十三万一千個、徳島が十六万二千個、高知は四万九千個と最も少ない。荷物の送り先はざっと三五%が関西、二五%が関東。高知の場合、荷物が少ない時は送り先に応じて丸亀や高松などの支店へ運んで別便に荷物をリレーすることもある。

 しかし、立ち寄りや積み替えは効率が悪い。桧垣課長は将来、四国の荷物をすべて一カ所に集中する構想を温めている。香川を除けば荷物が少ない四国の物流を効率化させるのが狙いだ。「より早く」を実現するには荷物を多く集めることが近道になるという。

 「高松なら高松に四県分の荷物をまとめ、行き先別に直行便を出すわけです。結局、それが時間の短縮につながる。トラックから出る排ガスも抑えられるでしょう。いつから? いや、まだまだ先の話なんですがね」

 ひとまず同支店は徳島自動車道の全線開通後、高知と愛媛から関西以東へ運ぶ荷物も明石経由とする予定だ。開通後五年間は二割引となっている明石の通行料金が六年目からどうなるかにもよるが、時間は大幅に短縮できるとみる。

 県内の宅配業界では四国西濃運輸などが関西方面への一部で明石経由をスタートさせている。ただ、早さ最優先の業界にとって現段階の明石架橋効果はさほどでもないようだ。「高知で明石効果が出るのは徳島県内の高速道が全線開通してから。今はまだ本州へのルートの選択肢が増えた程度」といった見方が多い。

 【写真】日本通運高松支店のホーム。10月から関西以東へはすべて明石経由で運ぶ(高松市朝日町6丁目)


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