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【試行錯誤】
高知の豆腐を全国へ
この「結ぶ」シリーズの第一部「『明石』前夜」の第一回目「攻め」で紹介した豆腐メーカーの県内最大手、タナカショク(高知市布師田、田中孝宗社長)の関西進出計画をご記憶だろうか。
出荷開始は二月。配送は県内の運送業者に委託し、高知から大阪の物流センターへ深夜までに届けてもらう、という計画だった。そうすれば翌朝の開店時には店頭に高知発の豆腐が並ぶ。運送ルートは当初は瀬戸大橋経由で、四月からは明石大橋をと考えていたのだが…。
■配送に難儀
「いざ運送業者を当たってみると、高知には豆腐のような“日配(にっぱい)物”をまとめて関西へ運ぶ流通便がないんですわ。園芸作物を運ぶ便はあっても、市場の休みの日は運休。だが、こちらは休むわけにはいかない。一日でも穴を開けて、量販店に迷惑を掛けるわけにはいきませんから」と田中社長。
関西出荷に当たり、県内での大ヒット商品「深層水豆腐」をベースとする三種類の新商品も完成。後は配送の確保という段になって壁に当たったわけだ。
「大手の食品卸さんにも頼みましたが、関西方面に毎日配送となると、現状では難しいようなんですね。高知の物流システムの遅れを実感しました」
結局、スタートは三月下旬にずれこんだ。八方手を尽くした結果、関西までの直送を買って出た高知市内の運送業者に配送を委託したが、「量販店から配送の仕方にクレームが出た」ため、この業者とはやむなく契約を切った。
そんな試行錯誤を経て、現在は県内業者と県外業者の合計二社に委託している。朝八時までに芸陽運送(安芸市、小原忠夫社長)のトラックが高知市布師田のタナカショク工場に到着。出来上がったばかりの豆腐を四トントラックに載せ、坂出市の日配物を専門に扱う県外業者の物流センターへ運ぶ。そこから先はこの業者が運び、翌日の開店時には各店の店頭に並ぶシステムだ。
「結局、明石海峡大橋は使っていません。坂出の物流センターからだとどうしても瀬戸大橋を通ることになりますから。時間的にもコスト面でも二社の引き継ぎは効率が悪いですが、しばらくは仕方ないですわ」
■関東にも販路を
現在、タナカショクの関西向け出荷量は一日二千丁。全部積んでも、芸陽運送の四トントラックはがらがらだ。積載効率が悪いため、どうしてもコスト高になる。
「それです。早く四トントラックを満載にできるよう、一日の出荷量を一万丁にまで拡大するのが目標です。そうなれば、地場の運送業者さんに、関西まで直接配送してもらいたい」
そう話すのは同社切っての営業マン、上田好秋さん。
この思いは芸陽運送も同じ。同社は現在も、行きは明石海峡大橋、帰りは瀬戸大橋のルートで週三便、大阪まで荷物を運んでおり、「量さえ確保できれば、関西までの毎日の豆腐専用便も可能」(桑名周一常務)という。
出荷開始以来、配送の手配に苦労する傍ら、上田さんは単身、関西圏の量販店に乗り込み、商品を売り込んできた。その結果、販路は着実に広がり、現在では大阪はもとより、広島、岡山、鳥取、和歌山、兵庫、京都、滋賀の量販店や百貨店の店頭に同社の豆腐が並んでいる。
上田さんは「秋口には取引先が大きく増えそう。将来は関東にも販路を広げる方針」と言う。高知産の豆腐が明石海峡大橋を通り、全国の食卓に上る日もそう遠いことではなさそうだ。
【写真】箱詰めしたばかりの豆腐を慎重にトラックに積み込む。「水物だけに壊れないよう神経を使います」とドライバー(高知市布師田のタナカショク)
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