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【陸路より海路】
フェリーで無人航送
「明石ルートかフェリーか。輸送コストだけを比較すれば、確かに明石海峡大橋を通った方が安い。しかし、うちは明石を選択しない」。県園芸連の元請け運送業者で、主に東京向けの園芸作物を扱う県内最大手、高知通運(高知市北本町一丁目)の野村茂久社長は、そう言ってある資料を広げた。
高知自動車道・南国インターチェンジ−中国道・吹田インター間のルート別料金比較だ。ルートは@瀬戸大橋A宇野−高松間フェリーB明石大橋C淡路島・津名−西宮間フェリーの四ルート。高速道、大橋の通行料金やフェリー料金にトラックの燃料代、維持費など走行距離分の運行経費も加算したうえで詳細に比較してある。
それによると、大型トラックの場合、@が二万八千二百五十六円、A二万七千七百五十二円、B二万五千九百九十円、Cは二万八千七百八円(高速道の料金別納割引など各種割引制度適用)と、明石大橋ルートが最も安いという結果になった。それでも高知通運が明石ルートを選択しないのはなぜか――。
■経営の効率化優先
「要は省力化の問題だ。輸送コストだけでなく、総人件費などの固定費も含めた経費トータルで考えたらどうなるか。うちは『さんふらわあ』と大阪高知特急フェリーを使った無人航送による輸送システムを十年かかってつくり上げた。これを上回るメリットがあるかどうかが判断基準だ」
野村社長の説明は明快だ。長距離トラックの運転手確保が容易でない現状や、総人件費の抑制、事故予防、積み荷の損傷防止など、トラック運送業界はさまざまな課題に直面している。「輸送コストの問題も重要だが、経営全体から見た効率化はさらに優先すべき課題。大橋の通行料や高速道料金が劇的に安くならない限り、現行の無人航送が有利だ。明石ルートに変える理由はない」
野村社長が「十年かかった」という無人航送システムとはどんな仕組みなのか。
「うちの運転手がトラックを運転するのはフェリーまで。船の中は無人のまま東京や大阪まで行く。向こうに着くと子会社(丸高運輸)の運転手が船から降ろし、積み荷を市場まで配送する」
最初は子会社ではなく、業務提携した東京、大阪の同業者に向こうでの作業を委託していた。しかし、多品目の園芸作物を各市場ごとに手際よく荷降ろしする作業は労力と熟練を要する作業。これが敬遠されて業務提携が次第に困難化し、平成二年に東京、六年には大阪に子会社を設立して対応することになった。
■将来もフェリー有利
「輸送ルートは積み荷の性質にもよる。現在、東京市場向けに輸送している園芸作物であれば明石大橋も四国内の高速道もほとんど関係ないのが実情」と野村社長。将来的にもトラックの大型化、環境問題絡みのCO2規制、物流の主要幹線をトラック輸送から内航海運、鉄道へ移行させる「モーダルシフト」を運輸省などが提唱していることも挙げ、「無人航送が将来も有利」と見る。
ただ、高知−東京間の「さんふらわあ」は偶数日ごとの隔日運航。奇数日は大阪高知特急フェリーを使い、大阪−東京間はトラックで陸送する。「さんふらわあ」の毎日運航は運送業界などが要望してきた多年の課題だが、同フェリーを運航しているブルーハイウェイラインの入交憲昭高知支店長は「高知−東京間の荷物量、特に東京から高知向け荷物となると極端に少なくなる。そうした現状に加えてうちの企業体力から言ってもデイリー運航は非常に難しい」と悲観的。高知新港同様、積み荷の少なさがここでも大きな課題になっている。
【写真】フェリーに積み込まれていく20トントレーラー。運転手がつくのはここまでで、船内は無人車になる(高知市桟橋通6丁目、高知港岸壁)
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