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【園芸便走る】(上)
多品目を正確に輸送
強烈な夏の日差しがジリジリと照りつける昼下がり。高知市布師田の四国運輸(小川雅弘社長)のトラックターミナルに、県内各地から十一トン型トラックが続々と集まって来た。まぶしく光る銀色の車体には「高知」「高鮮度」のペイント。本県の園芸作物を西日本各地へ陸送するトラック群だ。
トラック荷台にある冷凍庫の扉が開くと、涼しい空気がスーと流れ出た。中には県内各地で収穫された園芸作物が満載されている。ここで荷降ろしをした後、行き先別に仕分けされ、トラックに再度積み込まれていく。
「乗ってもらうのはあのトラック。出発は夕方です」
ターミナルの状況を説明してくれていた松田泰光・同社総務部長が一台のトラックを指さした。
「園芸王国」である本県からは、年間約八百五十億円もの園芸作物が県外へ出荷される。このうち西日本向けはトラックでの陸送がメーン。明石海峡大橋の開通でこの物流が変化したのかどうか。園芸作物の輸送トラックに同乗して実情をつぶさに見てみようという趣向だ。
■慎重にチェック
「よろしく」
松田部長に紹介された運転手の北添正広さん(51)が積み込み作業の手を止めてにっこりと笑った。同社入社以来二十六年間、長距離トラック専門に乗っているベテラン運転手だ。
積み込んでいる品目はメロン、温室ミカン、シシトウ、オクラ、ミョウガ、ネギ、小ナス…。送り状に記された農協名や品目、等級などをチェックしながら慎重に作業を進める。
本県の園芸作物は他県と比べ品目が格段に多いのが特徴。一台のトラックに二十種類近い品目が積み込まれるのはざら。それに、同じ品目でも等級が違ったり、露地物とハウス物で分かれていたりする。だから、一箱ごとにチェックしないといけない。貨物を間違って積み込んだり、積み残したりしたら一大事だ。
作業が終了したのは午後六時前。いよいよ出発だ。運転席のドアを勢いよく閉めた北添さんはアクセルをぎゅっと踏み込んだ。きょうの行程は国道32号を北上、徳島、淡路経由で明石海峡大橋を渡り、尼崎市などの三カ所の市場を回る。トラックは夕暮れの国道をゆっくりと走りだした。
■70カ所超す市場
「いろいろな品目を間違いなく積むのは大変ですね」
北添さんに話し掛けた。すると予想外の答えが返ってきた。
「チェックはもちろん気を使ううが、積み込む位置を考える方がずっと難しいよ」
園芸作物を運ぶトラックは一台が数カ所の市場を回るが、荷物のさばき方や内部の造りがそれぞれ違っており、荷物の降ろし方も千差万別だそう。後部扉からの時もあれば、側面を開ける場合も。手作業もあれば、フォークリフトを使う所もある。だから、積み荷が送り状と正確に一致していても駄目。降ろす際にスムーズに流れるように積まないといけない。
おまけに、市場は花きを合わせると、西日本に七十カ所以上ある。それぞれの市場の内部の造りや荷降ろしの方式を熟知しないと仕事にならないというのだ。
「園芸輸送はすぐにはできん。どんなベテラン運転手でも経験がなければ新人と同じ」
北添さんの声に力がこもった。園芸作物の輸送を長年支えてきたという自負が伝わってくる。
ターミナルを出てから約四時間、トラックは淡路島内の高速道を走っていた。イルミネーションを輝かせた明石海峡大橋が暗やみの中に浮かび上がってきた。
◇ ◇
連載「結ぶ」第4部は本県産業界の「物流最前線」。明石海峡大橋開通が県内の物流にどんな変化をもたらしているか。現状ルポを交えながら探っていく。
【写真】園芸作物の仕分け作業。スムーズに降ろせるように積み込むのがポイントだ(高知市布師田、四国運輸のトラックターミナル)
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