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第3部 瀬戸大橋10年<8>
【都市間競争】

拠点性へのこだわり

 大手企業の支店、支社や国の出先機関が数多く集まる高松市。旧JR高松駅から真っすぐ南に伸びる中央通は、「支店経済のまち」を象徴するビジネス街だ。この一、二年、ここにオフィスを出している石油元売り会社の支店撤退、あるいは支店統合の動きが目立つ。

 まず業界トップの日本石油が八年三月、高松支店を閉鎖。昨年四月にはジャパンエナジー、十月にキグナス石油も高松から相次いで撤退した。今年に入って昭和シェル石油が四月一日から「高松支店」を「四国支店」に名称変更。従来は工場向けの重油や潤滑油、アスファルト販売なども支店業務だったが、四月からこれを本社の直轄業務とし、支店はスタンドのガソリン販売業務に重点を移すなど支店機能の見直しを図った。

 高松撤退組は、いずれも中・四国の拠点機能を広島支店に統合させた。業界の激しいガソリン安値競争を背景に、各社とも厳しい採算性の中で生き残りをかけた合理化や事業の再構築に懸命。そんな事情を反映した動きだが、「四国の中枢」を自負する地元は、「高松の拠点性が揺らいでいるのでは…」と敏感に反応する。

 ■「国の出先離さない」

 香川県企画部政策企画総室。ここで今、瀬戸大橋開通十年の架橋効果をさまざまな分野で検証する調査分析を進めている。県民総生産、工場立地、観光などの十数項目の検証を予定している中に香川県内の支店・支社動向も。

 同企画総室では「平成六年に『支店経済等調査報告書』をまとめたが、それ以後はやっていない。まだ詳しいデータを取りまとめている段階で結論めいたことは言えないが、支店経済が地盤沈下するような大きな動きは見られない」

 平成六年調査では、地域経済圏の広さを読み取る指標として商業統計調査の「卸売業」に注目。特に中枢的特質が強く、総合商社機能を持った「各種商品卸売業」の販売額を全国レベルと比較した結果、香川県は東京都、大阪府、愛知県、福岡県についで「各種商品卸売業」の集積度が高かった。

 また国の出先機関がほとんど集まっていることを挙げて、「例えば高松にある建設省四国地建、日本道路公団四国支社が持つ工事発注の中枢機能は経済効果が大きい。出先の集積効果を離さない限り、将来の拠点性に悲観はしてない」と自信もちらり。

 ■高速基盤は諸刃の剣

 瀬戸大橋が開通した昭和六十三年当時、四国内の高速道総延長はわずか七十キロ。この十年で総延長は約四倍の二百八十六キロに延びた。徳島を除く四国の県都が結ばれ、昨年三月には高知から瀬戸大橋を経由して鳥取、島根とも高速道でつながった。従来の経済圏、生活圏の飛躍的な広域化は言うまでもない。

 岡山大経済学部の中村良平教授は、「南北軸でつながった中・四国の一体化は交流と連携の時代であると同時に、地方都市同士の競争が激しくなることも意味している。地方にとっては高速交通基盤の整備は『諸刃(もろは)の剣』にもなる」と指摘。

 「岡山と香川の拠点性で言えば、例えば、ヤクルトは中四国支店を岡山市内に置いた。平成三年から八年の事業所統計調査で見ると、岡山の事業所数が増加しているのに対し、高松は減少している。また地方税収入に占める法人税の割合が高松は下がっている。既存のデータから見る限り、高松の拠点性は相対的に下がっている」

 瀬戸大橋や高速道という「ストロー」を吸い込む力はどこが強いか。都市間競争はますます激しくなる。

 【写真】2日に新装オープンした瀬戸大橋記念館。全面的に展示替えをして「学ぶ」要素に重点を置いた(坂出市番の州緑町)


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