|
【流通再編】
物流効率化への挑戦
メーカーからの配送トラックが着くと倉庫は戦場だ。荷降ろし、移動、棚への小分け。小型フォークリフトが忙しく走り回る。
棚にはティッシュペーパー、紙おむつ、洗剤、シャンプー、ビデオテープ、乾電池など、細かく仕分けされた多種多様な生活雑貨が整然と並ぶ。棚には商品ごとの“所番地”が表示されている。
取扱商品は約一万点。出荷場でパートタイマーの女性が配送先の店ごとに商品をピッキング(集品)していた。棚のどこに何があるか、棚の“所番地”で探す仕組みだ。
■欠かせない物流橋
瀬戸中央自動車道・坂出北インターチェンジのすぐ近くにある香川県瀬戸大橋流通センター。平成八年四月、ここへ坂出支店を移転させた本県の総合卸、「関」(高知市南久保、関淑公社長)は、同支店開設に約四億円を初期投資し、物流センターとしての機能充実を図った。
商品の入荷から出荷までの流れをできる限り能率化。その作業光景は、商品を保管する「倉庫」というより「機能的な商品棚」に近い。同社坂出支店の千谷勝支店長(43)は「うちの倉庫は、小売店のバックヤードと考えてもらえばいい。小売り側は店頭の在庫を極力抑えるため、在庫スペースはできる限り削っている。だから、これに対応した納品の仕方やサービス、卸はここが知恵の絞りどころです」
千谷さんは「要は多頻度、小口配送」という。小売り側が要請する「適時、適品、適量」に応じると結局そこに行き着く。そして、これを前提に岡山で新たな取引先を開拓しようとすれば、瀬戸大橋は「ジャストインタイム」の配送に欠かすことができない“物流橋”だ。
◇ ◇
ダイエーやジャスコなど大手チェーンストアは、自前の物流センター設置へと方向転換を進めている。各店舗がメーカーや卸から個別に配送を受けるより、物流センターが一括して荷受けし、各店舗ごとに配送した方が効率的だ。
卸を「中抜き」した流通の短縮化。卸の機能を小売り側が吸収する動きが出ている。卸業者にとっては生き残りを問われる厳しい時代。特に物流コストの削減を図ろうとするメーカー、大手小売業者の卸に対する要求は「物流機能の代行」や「オンライン受注への対応」「小口配送」など高度化かつ多様化している。
■「倉庫は暗黒大陸」
「確かに『中抜き』とか『製・販同盟』といわれる動きはあるが、卸には卸の役割、存在意義がある。メーカー側にも小売り側にもメリットが出る仕組みづくり、これが卸の仕事だ」。そう言い切るのは「関」本社の西田栄夫常務。その言葉に自信が満ちているのは、同社が運送業者の「大西物流」(伊予三島市)との共同配送で物流効率化に大きな成果を挙げているからだ。
「メーカー三十一社が大西物流の倉庫に商品を集め、ここから四トントラックで各取引先へ配送する。違うメーカーの商品を混載するから満車にすることが可能。積載効率、稼動率も向上する。業界の主流は小売業者主導の共同配送だが、うちは独自のやり方」
ケース単位のまとまった量で納品できる商品は大西物流に委託。多頻度・小口配送は坂出支店をはじめとする自社物流。こうした物流シムテムを約十年かけて築き上げた。しかし、西田常務が「倉庫は“暗黒大陸”。まだまだ効率化の余地が残っている」と言うように物流効率化への挑戦は終わりがない。
個人経営などの中小卸業者の整理、淘汰(とうた)が進む一方で、大手・中堅業者も提携、合併を探っており、業界再編の動きはますます進みそうだ。
【写真】「関」坂出支店の物流倉庫。小口配送に対応するため、納品先の店ごとにきめ細かくピッキングしている(坂出市沖の浜)
|