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第3部 瀬戸大橋10年<2>
【借金地獄】

出口見えぬ償還計画

 「四国の悲願」。先人たちが膨大な労力を費やし、長く険しい道のりをたどった瀬戸大橋。四国の発展を約束する社会資本として建設費一兆一千二百億円が投じられた。

 建設費資金はすべて借金。通行料収入で返済していく仕組みだが、交通量の低迷から本四連絡橋公団の累積赤字は約七千二百億円に膨らみ、借金の金利も自前では払えない。そんな危機的状況に陥った巨大プロジェクトの現実は何を意味するのか。

   ◇   ◇

 「最大のネックは高過ぎる通行料金。もっと利用しやすいように値下げや割引制度を拡充して欲しい」

 明石海峡大橋の開通を控え、本四3ルートの新しい料金体系の検討に入った公団に香川、岡山両県を先頭に経済団体などが料金値下げの陳情攻勢をかける。次々と訪れる陳情団に公団は苦り切った。「地元は値下げを言うばかり。その財源は一体どこから? 償還計画は?」

 ■料金値下げの代償

 昨年七月、本四3ルートの新しい料金が明らかになった。「五年間は二〇%の割引措置」。それまで「増収になる保証がない限り値下げは無理」としてきた公団の姿勢からすれば、地元は実質的な値下げを勝ち取ったと言ってもいい。

 ところが、料金見直しに伴い、公団は本四3ルートで約三兆円に上る建設費の償還期間を三十三年から五十年に延長。これによって本県など関係自治体(八府県二市)が負担している出資金が増額となるほか、十二年度までだった出資が二十四年度まで継続され、国と関係自治体の出資総額は七千百億円から一兆六千億円に倍増する見通しだ。

 値下げの代償は大きかった。岡山県は当初、「財政状況は危機的で、大幅な増額はとても無理」と難色を示したが、結局、十年度当初予算で提示額約二十八億九千万円を全額計上。岡山県と同額提示の香川県も「公団の経営状況やこれまでの経過を考えると、応じざるを得ない」

 本県に提示された十年度分の出資金は、前年度比一五・五%の十一億四千二百万円。財政難の中、多額の財政支出は県議会でも論議を呼んだ。

 橋本大二郎知事は「通行料金などで発言権を保つ意味から出資することには意義がある」。当初予算に全額計上する一方で、「料金収入と出資金だけで巨額の費用をねん出する仕組みは、国家プロジェクトとして完成させた社会資本を有効に活用していく上などからも、少なからず問題がある」。現行の枠組みに限界があることを問題提起した。

 ■痛み伴う自分の問題

 公団の収支は通行料収入を基本とする独立採算。八年度実績は収入五百八億円に対し、管理費百四十二億円、金利九百三十億円。金利の不足分は国と関係自治体が毎年、出資金で補てんしており、経営破たんのツケは結果として関係自治体に回される構図だ。

 償還対象となる建設費は最終的には三兆四千億円に膨らむ計算で、関係自治体にとっても出口が見えない借金地獄。交通量の動向によっては、さらなる負担増への不安が募る。

 直接の架橋地でない本県にとって、これまで本四架橋はどこか「よその橋」という感覚があった。しかし、出資金の大幅な増額で「本四架橋の償還計画は、痛みを伴う自分たちの問題」と、意識せざるを得なくなった。

 橋をどう使い、地域の潜在需要をどう引き出すか。見直すべきことは何か。地域自ら知恵を絞ることが今、切実に問われている。

 【写真】北備讃瀬戸大橋の主塔から坂出側を望む。4月から通行料が値下げされ、交通量の増加が期待されている


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