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【模索】
共同配送でコスト削減
午後八時。徳島市郊外の倉庫から一〇トントラックが静かに走りだした。小雨の中、片側三車線の国道11号を北へ走る。
「昔、木材関係の仕事をしよって高知にはよう行った。梼原で田村さんいう人がツガをひきよってね」
ハンドルを握る井上朝之さん(54)はトラック運転歴十七年。徳島市に本社を置く東海運(粟飯原一平社長)に入社以来、この道を走っている。本州四国連絡道路・神戸淡路鳴門自動車道の起終点、鳴門インターチェンジから約十分で大鳴門橋に差し掛かる。
「前はフェリーに二回乗りよったけんね。値打ちあるわ、この橋は」
昭和六十年に大鳴門橋が架かるまでは、鳴門市の亀浦から兵庫県淡路島の阿那賀までフェリーで半時間かかった。今はあっという間に通り過ぎてしまう。
この日の積み荷はオートバイの部品。淡路島北部の岩屋港から明石海峡フェリー(所要時間二十分)で本州に渡り、明石市にある大手メーカーの組立工場に届ける。明石側で仮眠を取り、午前六時きっかり、工場の正門をくぐる。
井上さんの受け持ちは京阪神方面。神戸行きなら須磨に着く淡路フェリー(四十五分)、大阪・名古屋方面は甲子園フェリー(一時間五十五分)で西宮に。淡路島の各港から目的地別にフェリーを使い分ける。
フェリーの待ち時間は季節や時間帯によってまちまち。長いときは二時間も待たされるが、明石海峡大橋が開通すれば徳島市−神戸市間が従来の半分以下、一時間半で結ばれる。
昨年初め、徳島県トラック協会(佐藤貞夫会長)が会員三百二十社を対象に意識調査を行った。明石海峡大橋開通の影響について、回答した百四十一社のうち四割(複数回答)が「特になし(対応なし)」と答えた。
「危機感が薄い。ただ、これは橋の通行料金が決まる前の調査。島外への輸送の八−九割が明石大橋経由になるかもしれない」
同協会の大塚仁専務理事は「今後の取り組みで、伸びる事業者とそうでない者の差がはっきり出るだろう」と言い切る。
■神戸の渋滞は?
井上さんが勤務する東海運は海運、陸運、倉庫、通関を手掛ける県内大手。四カ所の県外営業所を含め約百二十台のトラックを保有する。陸運の年間売上高は二十五、六億円。同社は明石大橋開通をどう見ているのか。故・三木武夫元首相=徳島県土成町出身=の書が掛かる応接室で、武市正常務がテキパキと答える。
「課題は共同配送。これによってコスト削減を図りたい」
自社の車だけでは行き先が限定される。地元の運送業者が共同して荷物を積み合わせれば、効率も上がるはず。三年五月、地元十五社で協同組合「物流ネットワーク徳島」を設立したのもそうした狙いからだ。
物流ネットワークは全国組織とコンピューターで結ばれている。本州からの帰り便に空きがある場合、以前は電話で得意先に問い合わせていた。パソコンならリアルタイムで情報が入る。
「地域外の同業者とのヒューマン・ネットワークの意味が大きい。異業種交流も活発に行っている」
協同組合の専務理事を兼ねる武市常務は、「時間短縮の効果を有効に使い、県外大手ができないサービスを目指す。その日の朝に出発する毎日運行が可能になれば、稼働率がぐっと上がり、コストを下げられる」と力を込める。
問題は神戸側の交通事情。毎日運行は神戸側の朝の渋滞にかからないことが前提になり、「ある程度、様子を見る必要がある」。今はまだ、手探りの中で開通を待っている。
【写真】フェリーに次々と乗り込むトラック。明石海峡大橋の開通は物流をどう変えるのか…(兵庫県淡路町岩屋)
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