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神戸にナンバーワン店舗
明石海峡大橋のたもとから車で半時間ほど走った神戸市須磨区の新興住宅街に昨年末、神戸一の大型家具店がオープンした。
幹線道路の交差地点にピンクの三階建てがすっくと立つ。神戸っ子の反応は上々らしく、週末ともなるとマイカーの家族連れらがどっと来店する。
この店、宿毛市に本社を置くマナベインテリアハーツ(真鍋守利社長)が開設した。宿毛の家具店がなぜ神戸に、それもナンバーワン店舗を?
「五年前と同じなんです、今回の決断も」
地上三階、地下一階。四千二百十二平方メートルの広いフロアを歩きながら、真鍋社長(48)が淡々と説明する。
もともと同社は百年近くにわたって宿毛で店を開いていた老舗。旧社名は「まなべ家具店」で、年間売り上げが五億五千万円。だが社長にはジレンマがあった。「宿毛にとどまっていては頭打ちは免れないのではないか」と。
真鍋社長は宿毛高から早稲田大に進み、卒業後は東京の大手プロダクションで歌番組の制作に携わっていた。他分野で働いていただけに、発想豊かで視野は広い。決断も大胆だった。五年前、一念発起して高知市郊外に大型店舗を開く。
のちに中村市にも店を出し、三店舗の年間売り上げは二十億円を突破する。一躍、県内業界のトップクラスに躍り出た。しかし…。
「家具店は必要商圏人口が大きいんです。つまり売り上げを伸ばすためにはある程度のまとまった商圏が要る。が、県内ではもう伸びる余地がなくなってしまいました」
考えた末、本州への進出を決断する。名古屋−神戸間を候補に、最終的に選んだのがこの土地。決め手は「橋」だった。
■大事な時間距離
打つ手の大胆さと対照的に真鍋社長の表情は柔らかい。ずらりと並ぶ家具類に目をやりながら、ゆっくりと話を続ける。
「明石大橋ができるとアクセスがよくなりますから。店舗管理能力を考えた場合、時間距離が大きな判断材料になるんです。神戸なら日帰りも可能です」
同社は店舗間の物流定期便を持っている。当然、高知との時間距離は短い方がいい。また神戸店の社員の多数は高知から派遣しているから、それを考えてもなるべく時間的に近い場所がいい。さらにもう一つ、同社長は輸入を視野に入れている。
「海外商品を自社で輸入するつもりです。もちろんコンテナで。実は一時やっていましたので、それを復活させるわけです」
社長が重視しているのはこの四月に一部開港する高知新港。輸入家具のコンテナを高知新港に揚げ、近くの倉庫にストック。必要に応じてそこから神戸店に短い時間で運ぶ。そうすることで独創性ある商品を安価に供給し、都会の商戦に勝ち抜こうとしている。
神戸の家具業界は震災需要で一時的に景気が上向いた。だが消費税率の引き上げ後、需要は一気に冷え込んだ。
「そういう意味では状況は厳しい。でもこれまで商圏人口の少ない所でやっていましたから、私には人が多いという魅力の方が先に立ちます」
昨年まで神戸市で最も大きい家具店の売り場面積は二千七百平方メートルだった。この店はそれを一千五百平方メートルも上回っている。社長は「最終的には店の大きさが物を言う」とみる。
架橋効果をてこに大きな商圏で大きな勝負をかける。商戦の厳しさが分かっていながら、真鍋社長の心は弾んでいる。
【写真】閉店間際、フロアの片隅で翌日の打ち合わせを行う真鍋社長(左)=神戸市須磨 区、マナベインテリアハーツ神戸店
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