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6 造形師ボーメ 自由で創造的な「美少女」
「暇がなくて、自分のものが美術館に並んでいるところも見ていません。展示写真は見ています。えらく立派になったなあとは思いますけど…」
海洋堂の造形師ボーメさん(44)は話す。
三年前、現代美術家・村上隆さん=キーワード=のプロデュースで制作した美少女フィギュア「ko2(ココ)ちゃん」が、米国のオークションで約6800万円で落札され、大きな話題となった。
作品の原型を制作したのがボーメさん。村上さんは「僕は彼ら(造形師)の才能を転用したいわばプロデューサー。海洋堂のふんどしで相撲をとっているようなものです」と言う。
顔から作る
ボーメさんが発表するフィギュアは常に注目を集める。美少女フィギュアのトップランナーだ。
「自分の作品は本当にまだまだなんですよ。作品ができた途端に欠点が見えてくるんです。下手さが見えてくる。製品になってしまうと、どうしようもなく嫌になる」
世間の高い評価と裏腹に、インタビューに答える言葉はいつもこんなふうだ。決して現状に満足してない。
「美少女」を作り続けているのは、それが「実物」というものにとらわれない創造的で自由な世界であるから、と言う。
「絵があったら、それを手に取りたいというのが僕の願いなんです」
アニメや漫画の雑誌などが山積みになった制作室で、ボーメさんはファンドと呼ばれる粘土を手にしている。手渡された粘土は、油粘土より硬質で、伸びの良い感じだ。
「これで顔から作り始めます」と、真っ白いファンドを成形していく。こうして足や腕などを部分ごとに作り、そして組み合わせていく。
「大事なのは部分というよりも全体の雰囲気ですね。こういうことで、ずーっと20年以上苦しんでます」
日本橋で情報収集
海洋堂本社がある大阪には、東京の秋葉原と同じような電気街・日本橋があり、「オタク」たち向けのフィギュアや同人誌を扱う一角がある。通称「オタロード」だ。
「毎週のように通っています。僕は絵が描けないから、そうしたところで時代の流れをつかまないと、最新のフィギュアができないんです」
「食玩がブレークしたおかげで、フィギュアというジャンルが認知されたことは大きいですね。それで僕ら造形師も世間に通じるようになったんだと思ってます」
小学生のころからの友達でもある宮脇修一社長は言う。
「ボーメなんか、つい最近まで美少女フィギュア作ってることを親に隠してたんやで」
【写真説明】ファンドと呼ばれる粘土で美少女フィギュアを制作するボーメさん(大阪府門真市の海洋堂) 
村上隆さん(むらかみ・たかし) 1962年東京生まれ。東京芸大大学院卒。アニメやフィギュアなどオタクカルチャーに着想を得た作品で、海外でも高い評価を受けている。ルイ・ヴィトンで図案デザインを手掛けたことも注目された。海洋堂とはアート食玩「村上隆のスーパーフラットミュージアム」でコラボレーションした。
(2006年5月28日付・朝刊)
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