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2 食玩革命・下 小さく、尽くされている

わずか150円ばかりのお菓子に付いていたフィギュアたちが、県立美術館の展示室に飾られている。美術館展示の歴史上で最も「安い」作品だろう。それは痛快な光景でもある。
オリジナル模型やフィギュア専門メーカーだった海洋堂が制作した食玩フィギュアは、子どもたちがお小遣いで買うものから、大人たちのコレクションの対象となった。
宮脇修一社長は言う。
「調べると購入年齢層で最も多かったのは、20代後半から30代でしたね。タイムスリップグリコ=キーワード=では30代、40代、20代の順だったそうです」
動物造形の天才・松村しのぶさんによる「チョコエッグ」の「日本の動物コレクション」の大成功は、新たな市場を生み出した。
星の数ほどある
「創るものは夜空にきらめく星の数ほど無限にある」。海洋堂社員の名刺にはこのフレーズが刷り込まれている。食玩フィギュアはその言葉通りに増殖する。
昆虫、戦車、戦闘機、ロボット、怪獣、美少女、映画やアニメの人気キャラクター…。
ルイス・キャロル「不思議の国のアリス」の登場人物や、画家ミュシャの絵のフィギュア化などは、二次元のキャラクターたちを立体化するという試みだ。
「不思議の国」に登場する「笑うチェシャ猫」「お茶会のいかれ帽子屋」など一風変わったキャラクターや、ミュシャが描く独特の華やかな女性たちが手に取れる。
そうしたフィギュアたちは、作品世界をより深めるアクセサリーともなった。そして、主に男性たちが買い集めていた食玩の世界は、こうした新しい商品によって、女性にも広がっていった。
おもちゃがアート?
海洋堂フィギュアは、市場を拡大させただけにとどまらない。
博物学者の荒俣宏さんは「小さく、尽くされていて、精密である」と海洋堂の食玩フィギュアを絶賛した。
最先端にある現代美術を意欲的に紹介し、現代アートの殿堂ともいえる水戸市の水戸芸術館。同館は昨年5月、海洋堂フィギュアの企画展を開催した。
担当した浅井俊裕学芸員は話す。
「おもちゃがアートなのかと言われます。しかし、このフィギュアたちを見れば、彼らが真剣にその人生をかけていることを感じる。日本人が伝統的に有していた技術の原点がある。これは現代美術の作家たちに痛烈なメッセージを送っているのではないでしょうか」
【写真説明】海洋堂の本社応接室には発売された食玩フィギュアがすべて収められている(大阪府門真市)

タイムスリップグリコ 2001年に第1弾が発売されてシリーズを重ねている。大阪万博編の「太陽の塔」や「三波春夫」、「ホンダスーパーカブ」「足踏みミシン」「スカイラインC100型(ケンメリ)」「松下電器シリンダー型電気掃除機」などリアルで懐かしい造形が人気を集めた。
(2006年5月22日付・朝刊)
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