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一豊と千代 巻き起こせ土佐ブーム
 

06年10月17日付朝刊

 城跡西側保存を 市村高男・高知大学教授

浦戸湾から入った船でにぎわう明治時代の堀川。城のお堀を復活させ、観光船を走らせるのも一興

 平成16年度、県は高知市と連携し、城の整備に関する初めての中長期計画「史跡高知城跡整備計画」を策定した。

 県庁や県立図書館・文学館の敷地を含めて史跡公園化するとの内容である。この計画は、高知城の学術的価値と観光資源としての限りない可能性を重視して生まれた。

 将来、この計画が実現し、埋もれた堀が復元されるなどすれば、高知城は江戸時代の姿を一層鮮やかに現すことになる。とすれば、今以上に、注目を集めることは間違いない。

 その整備計画に合わせ、江ノ口川の浄化を進め、城周辺と浦戸湾を結ぶ観光船を運航するのも面白い。かつて江ノ口川や堀川、鏡川には、人や物を載せた船が盛んに行き交っていた。

 高知城西側のマンション建設予定地には、近世前期ころのものとみられる約22メートル幅の堀跡が埋まっており、その形は城絵図によってほぼ全ぼうがつかめる。現在、私たちが目にする県庁周りの堀跡とは、比較にならないほど大きな規模である。

 絵図によると、この堀跡は四国森林管理局の敷地を抜け、江ノ口川へ延びている。その途中、武道館とはす向かいの所に搦手(からめて)門や西の丸がある。

 土佐史の先達、横川末吉氏は、山内氏以前に高知へ入城した長宗我部氏の居館(御土居)の場所を、城山の北西部に求めていた。これは「長宗我部地検帳」の記載によるもので、私もほぼ同意見である。

 高知城の遺構や地形条件、山城のふもとに造られる一般的な居館のあり方からみて、その第一候補として挙げられるのが西の丸一帯であり、当時の大手門(追手門)もこの周辺(現存する搦手門跡がそれに当たるか)に求めるのが自然であろう。

 長宗我部氏が西の丸一帯に住んだのは、地検帳の記載から見て、短期間であった可能性が高い。しかし、山内氏前期の下屋敷が高知地方裁判所の敷地内で発掘されたように、戦国―江戸初期の城跡西側一帯が持つ重要さは、これまでの想像をはるかに超えるもの、といわなくてはならない。

 今回、マンション建設が計画されたのは、そのど真ん中に当たる。このままマンションが建設されれば、県が策定した中長期の整備計画はもとより、城山の自然や歴史的景観も、さらには戦国―江戸初期の高知城の謎を解く鍵の多くを失うことになろう。

 城跡西側の保存が成功するかどうかは、文化庁ばかりでなく、歴史や環境問題に関心を持つ全国各地の人々から注目されている。

 【写真説明】浦戸湾から入った船でにぎわう明治時代の堀川。城のお堀を復活させ、観光船を走らせるのも一興だ

(おわり)


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