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一豊と千代 巻き起こせ土佐ブーム
 

06年10月15日付朝刊

 湯築城跡の教訓 川岡勉・愛媛大学教授

 高知城西側で発掘された堀跡が、城の構造や城下町の変遷を探る上で重要だとして、多くの人々の関心を集めている。

 それは山内氏の入城以前、すなわち戦国時代の長宗我部氏や、それより古い段階の城の姿を解明する手掛かりになるかもしれないためである。全国の歴史学者や城郭研究者が注目するのも当然と言えよう。

 私が住む松山も、高知と同じく江戸時代の城下町を継承した町である。だが近世に松山城が築かれる前は、城山の東約2キロにある道後の湯築(ゆづき)城が中世の大名、河野氏の居城であり、伊予国の中心であった。

 昭和63年、愛媛県が道後公園の整備のために行った発掘調査で、戦国時代の遺跡が見つかり、湯築城の持つ価値に注目が集まった。

 そして翌年には、市民から城跡を守ろうという声が上がった。長い保存運動の結果、平成14年に国史跡となり、同じ年には遺跡を生かした公園もオープンした。

 現在、公園内にある湯築城資料館では出土遺物が展示され、周囲には武家屋敷や門、土塀、池などが復元されている。訪れた人は気軽に散策しながら文化財に接し、伊予と河野氏の歴史を学べる有意義な場所となっている。

 松山では、中世の湯築城と近世の松山城を見比べ、戦国時代から江戸時代への移り変わりに思いをめぐらすという、貴重な体験が可能になったのである。

 湯築城は今年、松山城や高知城などとともに、日本城郭協会が選ぶ「日本一〇〇名城」に名を連ねるまでになった。

 松山におけるこうした市民の運動から考えて、言えることがある。それは、高知城西側で見つかった堀跡は、町のシンボルをなす城の原点にかかわる遺跡であり、専門家のみならず、市民にとって大切な歴史遺産だということだ。

 本物の遺跡は一度失われると二度と取り戻すことはできない。歴史遺産とどのように向き合い、住みやすい町づくりにどう結び付けていくか。

 地域の持つ多様で豊かな歴史や文化に目を向けることは、地域づくりを構想する際の大きな鍵になる。今まさに、行政の責任と県民の文化レベルが問われている。

 【写真説明】湯築城跡に復元された武家屋敷(愛媛県松山市)


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