|
06年10月14日付朝刊
天守の特徴に注目 高田徹・城郭談話会
高知城の天守は18世紀の姿を今に伝える貴重な建築物であり、ご存じのように重要文化財にも指定されている。
天守は城郭の一番奥にあり、有事には最後の牙城となる。また、攻め寄せる敵を撃退するための、さまざまな仕掛けも備えている。
例えば、高知城の天守1階部分には石垣から張り出した個所があり、その下は、開いた状態になっている。これを「石落とし」と呼ぶ。
そこから石を落とすわけではなく、石垣をよじ登る敵に銃口を向けるための仕掛けである。
また、高知の天守にはいくつかの注目すべき特徴がある。
 第一が天守台を持たない点である。天守台とは天守を乗せる壇のこと。天守台を持つことによって天守は高さを増し、防御性が強化される。だが高知城には天守台がなく、本丸から天守に直接入れる形になっている。これは弱点となる。
第二は、天守と本丸の形が一致しない点である。高知の天守は真上から見ると正方形に近い形をしている。これに対して本丸は、台形ともひし形ともいえない複雑な形をしている。
そのため、天守の北側は本丸の石垣の線に合わせて立っているが、東側の石垣との間に、すき間を生じてしまった。すき間は、天守を防御する上での死角になる。これも弱点である。
このように、高知城の天守は軍事性に優れた部分と、防御面の弱点になる部分とが混在する。
これは、現存する天守に、山内氏初期の面影を残す部分と、江戸後半期に再建された部分が、併存しているためだろう。これは、城の歴史を考える上で重要なポイントになる。
城といえば、全国どこでも天守のみが注目される傾向がある。しかし当然ながら、天守が立つ本丸や多くの曲輪(くるわ)、石垣や堀があってこそ城本来の機能は発揮される。
高知城には天守のほかに多くの建物や遺構が残っており、その全体に目配りすることで、初めて天守の価値や変遷を解明することができる。
城の西側で確認された大きな堀も、城の一部であることには違いない。一体的に保存していくのが妥当と考える。
【写真説明】天守台を持たず、本丸から直接入れる高知城天守
|