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一豊と千代 巻き起こせ土佐ブーム

05年4月16日付夕刊

 一豊は「かずとよ」?「かつとよ」? NHKと民放“空中戦”

 一豊の読み方は「かずとよ」? それとも「かつとよ」? 県が購入した国宝「高野切(こうやぎれ)本」やNHKが放映予定の大河ドラマ「功名が辻」などに関連して最近、頻繁に耳にする土佐藩初代藩主、山内一豊の名前。ところがその読み方が2つに分かれている。口承や資料、文学作品のルビなどがまちまちなことが原因で、テレビ界ではNHKと高知の地元3局が読み方をめぐって電波の中で“空中戦”。県民、視聴者は、さて、どっち?

 一豊については古くから専門家の間でも定まった読み方がなく、「かずとよ」と「かつとよ」が混在してきた。ただ、全国的には「かず」が一般的らしく、県立図書館によると、同館所蔵の事典類13冊のうち「かず」が9冊、「かつ」1冊、ルビなしが3冊。

 土佐山内家宝物資料館の渡部淳館長の話では、「かずとよ」説の根拠の一つは江戸中期の「寛政重修諸家譜」。徳川幕府が各藩に提出させた資料を基に編さんしたもので、これに「かずとよ」のルビが付いている。

 一方、「かつとよ」の主な根拠は山内家の口承で、「『一』は音が『勝』に通じ、戦国武将の間では『かつ』と読むケースが見られたという理由から『かつとよ』と言い習わしている」と同館長。

 そこで気になるのが県民に大きな影響を与えるテレビ各局の対応――。

 渡部館長によると、ドラマ化決定後、NHK側から呼称についての相談があり、「山内家が『かつとよ』と呼んでいることなどもお伝えした。NHK内部でもどうするか悩んでいたようです」と言う。結局、NHKは「かずとよ」で通すことに。NHKの番組広報部は「司馬遼太郎氏の『功名が辻』原作には『かずとよ』のルビが振られている。原作を忠実に再現したい」と話す。

 NHKでは地元の高知放送局でもこれまで両方の読み方が混在していたようだが、ドラマ化を機に全国の地方局が「かず」で統一したという。

 一方、地元組のうちRKC高知放送は、今年に入って同資料館ともやりとりした上で呼称を再検討。「山内家での呼び方が『かつとよ』となっていることなどを参考に」(小笠原一清専務)し、アナウンサーによってまちまちだった読み方を「かつ」に統一した。

 またテレビ高知は山内家18代当主、故・豊秋氏が同社役員を務めていた縁もあり、「うちは(昭和45年の)開局当初から『かつとよ』。かつとよの方が歴史的根拠に基づいているでしょう」(池知学・報道技術センター付局長)。

 高知さんさんテレビは「以前は『かつ』と『かず』が混在していたが、高知城築城400年(平成13年)の前年に局内で検討し、『かつとよ』に決めた」(鍋島康夫報道制作局長)という。

 もっとも民放各局の場合、実際の放送原稿では今後も「つ」と「ず」が混在しそう。というのも例えば4月末から開かれる「土佐時代絵巻―一豊公千代様まつり」について、主催する高知市などの見解は「一豊は『かずとよ』と読みます」。

 このため、民放各局は「一本のニュース原稿の中でもイベントの固有名詞は『かずとよ』と読み、イベント名以外の部分は『かつとよ』と読む」と口をそろえる。

 この問題、県立図書館によると「最近の書籍類は『かず』が少なく『かつ』が多い」とか。渡部館長は、「山内家の現当主(19代・豊功氏)は(本来は『かつ』だが、テレビドラマが『かず』と呼ぶことに)『目くじら立てなくても…』という考え」とも明かす。

 とにもかくにも、大河ドラマが火付け役となって噴き出した“読み方論争”。歴史上の偉人だけに、これを機会に統一してみるのも一計かも。

 ちなみに高知新聞社刊の「高知県人名事典」は「かつ」にしています。


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