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3月9日、高知医療センター内。今月限りで退職する瀬戸山元一院長に代わって新院長に就任する堀見忠司副院長が、緊張した面持ちで記者会見に臨んでいた。
連携と分担
「地域の医療機関を支援し、地域の医療機関から支援される病院を目指す」
抱負を語る新院長の隣には同センターを運営する県・高知市病院企業団の吉岡諄一企業長が座り、2人の脇を経営担当の大脇嶺副院長、医療担当の深田順一新副院長(現医療局長)が固める。
その光景は、医療部門だけでなく経営部門との役割分担・連携を目指す「チーム医療」がポスト瀬戸山の基本路線であることを強く印象付けた。県と市の病院統合、病院PFI(プライベート・ファイナンス・イニシアチブ)事業という二つの「全国初」の実現へ“瀬戸山イズム”の下で突き進んできたこれまでの流れとは異なる空気を醸し出していた。
地域の医療機関との紹介率・逆紹介率(51%・54%)や入院の診療単価(平均5万3000円)、平均在院日数(一般病棟13・3日)などの実績を見る限り、医療センターは予想以上に早く目指す病院像に近づいている。
「地域完結型の医療が根付きつつある」。堀見次期院長らはこの1年をこう総括し、高度・急性期病院の機能を最大限に発揮するには「連携と役割分担」が生命線となると強調する。
だが、開院以来フル稼働が続く救命救急、総合周産期母子医療の両センターを中心にスタッフたちの疲労は積み重なり、「早く対策を講じなければパンクしてしまう」。一方では旧病院から引きずる古い意識も克服課題だ。
【写真説明堀見忠司・新院長(右から2番目)を軸とする新体制が発表された記者会見。連携と役割分担に基づく「チーム運営」という基本路線を強く印象付けた(3月9日、高知医療センター)
「役割果たす」
収益に占める材料費率の高さや年間約40億円に上る県・高知市からの繰入金は、経営面からも医療センター運営の甘えを許さないが、新体制はそこにも「連携と役割分担」の姿勢を打ち出す。
18年度早々にも立ち上げる第三者機関の「業務推進委員会(仮称)」がその一例。PFI事業を担う特定目的会社(SPC)との協働の在り方や、経営改善への取り組みを提言する。計6人の委員には病院経営やPFI事業の専門家、県医師会長らが名を連ねる。
同委員会に県の医療政策の責任者である畠中伸介・県健康福祉部長も名を連ねるのは、医療センターの医療政策上の位置付けを明確化させることを意識したものだが、村山博良・県医師会長は医療センターを“自分たちの病院”と位置付けて強調する。「本県医療の“最後のとりで”をほかの病院やかかりつけ医がうまく活用しなければ」。そして吉岡企業長は言う。「県民市民の財産として、県の医療政策の中で役割を果たす強い意思がわれわれにはある」
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「可能な限り県内で医療を完結させてほしい」。そうした患者側の思いや本県の医療界が果たせなかった課題に対処するため生み出された高知医療センター。
限りある医療資源を連携と機能分担で有効に生かし、押し寄せる医療制度改革の波を乗り越え、誰もが安心して身を任せられる地域医療ネットワークは、果たして構築できるのか。
県全体の「チーム医療」を目指す医療センターの挑戦は、行政を巻き込んだ本県医療界全体の挑戦でもある。その実現に向けては、患者がどういう「医療のかたち」を望むのか、県民市民一人一人の判断が問われることになる。
=2006年3月25日付・朝刊=シリーズ終わり
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