「契約違反だ!」「こんなことなら損害賠償も必要になる」。県議や高知市議から病院幹部に突き付けられる厳しい指摘の矢―。
10月18日、高知医療センター内で開かれていた病院企業団議会の議員協議会は、騒然とした雰囲気に包まれた。
“爆弾”
この日、同センターを運営する県・高知市病院企業団(吉岡諄一企業長)とともに経営の一翼を担う特定目的会社(SPC)「高知医療ピーエフアイ」(西名弘明社長)側も初めて出席していたが、同社の深沢正泰副社長の顔色は優れず、目元には心なしか疲れの色が見えた。
理由は、議会に報告する医療センターの2005年度決算見込みの中に“爆弾”を抱えていたことにあった。それは赤字か黒字かという全体の収支に関してではなく、支出の内訳の1項目、「材料費」に関するものだった。
材料費はメスなど使い捨ての手術器具や薬剤などの購入に充てられ、手術件数などと密接に関係する。一般に「高度な医療」を提供すればするほど、材料費も高くなる傾向にある。このため材料費の膨らみは、医療センターが目指す急性期の治療に特化した病院像に近づいている「証し」と言えなくもない。
ではなぜ、議員は目くじらを立てたのか。そこには、企業団が旧県・市病院組合当時にSPC側と結んだPFI(プライベート・ファイナンス・イニシアチブ)事業契約が絡んでいる。
23・4%
契約では、材料費を医療行為で得られる収入の「23・4%以下」に目標設定している。ところが、材料を調達するSPCがはじいた決算見込みでは「29・9%」。当初の予算額を8億円以上もオーバーしていた。
入院収益が予算比で9億円程度の伸びとなる好材料もあるにはある。だが、目標に程遠い材料費のボリュームは、それを打ち消す以上に大きな意味を伴っていた。
深沢副社長は「来年度はまず27%台に…」と段階的に材料費を抑制する考えを口にしたが、県議の一人は支出に占める材料費の割合が人件費の次に高い点を挙げ、こう強調した。
「材料費をいかに安くするかがPFI事業の効果だと聞いていたが。(PFIを導入しない場合と比べ)他の経費は数%しか安くならないが、材料費は20%近くも安くなる。それがSPCと企業団が協働する上でのセールスポイントじゃなかったのか!」
【写真説明】病院企業団議会の議員協議会に臨んだ特定目的会社(SPC)の深沢正泰副社長=左から2人目(10月、高知医療センター)
高知医療センター 高知市池に今年3月、旧県立中央、旧高知市立市民の両自治体病院を統合した公的病院として開院。民間の経営能力や技術力を活用してサービスを提供する病院PFI事業を全国で初めて導入した。医療行為は「官」の病院企業団が、それ以外は「民」の特定目的会社(SPC)が担い、官民協働で効率的な運営を目指す。県議、高知市議計14人で構成する病院企業団議会がチェック機関として設置されている。
統合病院取材班
=2005年12月1日付・朝刊
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