地域の医療機関と“役割分担と連携”を進め、名実ともに高度・急性期病院となる―そのために高知医療センターが重視する“指標”がある。
「地域医療支援病院」としての承認、そして診療報酬上の「急性期特定入院加算」が受けられる施設基準だ。
県知事から地域医療支援病院として承認されるには、過去1年間の実績で紹介率60%、逆紹介率30%をともに超えることなどが条件となる。
3月はそれぞれ43%・24%、4月は54%・38%…と推移し、7月は54%・39%(速報値)。また急性期入院特定加算の主な条件である平均在院日数(17日以内)も、7月は病院全体で14・4日、一般病棟では12日台の見込み。比較的順調な経過をたどっているといえるだろう。
医療センターは紹介率アップに向け、地域の医療機関との間で「紹介した患者をちゃんと返してくれる」という信頼関係を構築する意味で逆紹介を積極的に進める方針。
その一環として、8月から運用し始めたのが「なっとくパス」。生活習慣病などの治療計画全体を、かかりつけ医ら地域の医療機関や患者と共有することで、患者にとっては地域の医療機関に逆紹介される際の抵抗感が和らぐなど、病診連携がスムーズに流れると期待している。
“出口”が詰まる
そんな中、心配な兆候を示すデータがある。病床稼動率だ。救命救急センターや総合周産期母子医療センターのフル稼働などによって重症の入院患者が増加し、4月以降は80%台で推移。一般病棟(全11フロア)のフロアごとの数字をみると特に6月以降、新規の患者を受け入れられなくなる目安である92%を大半のフロアで超過している。
この問題を解消するためには病床の回転率を上げる―つまり、一定の治療が済んだ患者を地域の医療機関に引き受けてもらう“出口”の部分の連携を進めなければならないが、「地域の診療所のほとんどが無床。“亜急性期”の病床を持つ医療機関がとても少ない」と事務局は嘆く。
急性期は過ぎたが、自宅に帰って地域の診療所などに通院するにはまだリハビリなどに時間がかかる―医療センターは、そうした「亜急性期」などの患者を引き受けてくれる医療機関との連携を重視。
「後送病院」と位置付け、県内91の医療機関をリストアップした。
「人工呼吸器を付けているとか、透析が必要だとか、具体的にどんな状態の患者さんなら引き受けてもらえるのかというさびわけが済んだところ」と、深田順一・地域医療センター長は説明する。
放り出される不安
こうした病病連携に対し、県東部の総合病院の事務長は「三次医療で張り合うのではなく、医療センターなどから次のステップの治療を任されるような連携を大切にしていきたい」と期待を寄せる。
一方、別の民間総合病院の医師は「医療センターは急性期リハビリが十分でなく、送られてくる患者のリハビリ効果が期待できない」と苦言を呈する。患者側にも「どうしてこのまま入院させてくれないのか」「治療が不十分なまま放り出された」との声もあり、今後の課題といえよう。
県内で現在、唯一の地域医療支援病院である近森病院の近森正幸院長はこう指摘する。「これまでの病院は、自分のところの外来患者の中から入院患者が発生して治療、退院する―という自己完結型だった。今では急性期と亜急性期、回復期、慢性期の医療機関がタイアップするケースが増えており、そうした機能分担と連携の流れはますます加速するだろう」
ゆっくりと動きだした感のある医療連携。一方で、全国初の病院PFIに伴うSPC(特定目的会社)との協働、5センター6局体制によるチーム医療、電子カルテを中心とする統合情報システム、自治体病院としての経営…と、医療センターには検証すべき課題がまだ残されている。
【写真説明】高知医療センターが高度・急性期病院としての機能を発揮するためには、地域の医療機関との機能分担と連携が欠かせない(高知市池)
(統合病院取材班)
学芸部・小川一路
=第3部おわり=
=2005年8月12日付・朝刊
|