救える命を救いたい―。高知医療センターの救命救急センターは「救命」という第一義の機能を発揮するため、関係機関とのネットワークづくりを進めている。
救急の“入り口”の部分で最も大きなウエートを占めるのが救急隊との連携。開院から5カ月間で、救急外来の総患者数約5500件中、4分の1強に当たる約1500件が救急車による搬送だった。
地域別の搬送件数は、高知市が50%、嶺北も含めた南国市以東が34%に対し、高幡と幡多では計5%と「東高西低」。人口当たりの利用率に換算すると、高知市よりも嶺北や香美郡など県中東部の郡部で“依存度”が高い。
さらに、高知市内の消防署別の搬送数は、市中心部(中署、南署、江ノ口出張所)の合計が28%。これに対し、東署と東部・三里・長浜の各出張所の合計で62%。市中心部と、医療センターへのアクセスがいい市東部・南部とで一定の“すみ分け”が進んでいることがうかがえる。
医療センターは救急隊などとの連携をより深めるため、隊員らの研修スペースとして救命センター玄関口に設けた「救命救急ワークステーション」の本格運用を秋にも始める。症例検討会も7月に続き、今月下旬に開く予定だ。
ヘリは41件
医療センター開院後、最も変化した救急の“入り口”といえば、ヘリコプターによる搬送だろう。24時間使用できる屋上ヘリポートを活用し、8月8日現在で計41件、ほぼ4日に1回の割合で受け入れている。
その内訳は、県消防防災ヘリ「りょうま」と、県警ヘリ「くろしお」が各14件、県外の消防防災ヘリ11件、海上保安庁のヘリ2件の順。「りょうま」が3月末から約4カ月間メンテナンス入りしたため、県警の協力により、それまでほとんど救急出動していなかった「くろしお」がその穴を埋めた形。同庁とも救急業務に関する協定を締結するなど連携を広げている。
地域別では高幡10件、幡多8件、嶺北7件、安芸5件、高吾北2件などの順で、こちらは「西高東低」。へき地の救急医療を支援しているが、福田充宏・救命救急センター長は「県東部でもヘリの活用が進めば」と期待する。
「日常の救急医療の中で関係機関との連携を構築しておけば、災害時の搬送態勢のベースになっていくはず」と福田センター長。この連携が南海地震などに備えた災害医療のネットワークづくりの意味合いを持つことを強調する。
ベッドが回らない
開院から5カ月で、救急車による搬送約1500件のうち65%が入院に至る重症患者。それに比例するように、20床ある救命センターの病床稼動率も3月に71・8%、4月79・3%、5月86・1%とアップしていった。
6月、7月は落ち着きを見せているものの、重症患者が多いほど、患者1人当たりの在院日数は延び、ベッドコントロールが難しくなる―。「1日に5―6人ずつ受け入れなければならないとすると、その分の病床を毎日空けておく必要がある。20床という限られた病床数でやるのは大変」と福田センター長。
開院当初はスタッフの不慣れもあり、他の医療機関などからの受け入れ要請を断らざるを得なかったケースも数例あったそうだが、救命救急センターの役割としては、重症患者の受け入れ要請を断らないのが大前提。そのためには、ICU(集中治療室)などで症状が安定すれば一般病棟へ、一般病棟で一定の治療が済めば地域の医療機関へ―という院内・院外の連携がどうしても必要となってくる。
“出口”の部分のネットワークをいかに構築していくか―。それは救命センターだけの話ではなく、急性期病院である医療センター全体の重要な課題でもある。
【写真説明】屋上ヘリポートを活用し、ヘリによる救急搬送を受け入れている(高知医療センター提供)
(統合病院取材班)
=2005年8月10日付・朝刊
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