|
「これでおわりかも」 報道陣からため息
【ジェネラルサントス(フィリピン南部ミンダナオ島)塚地和久、佐藤邦昭・本社記者】「これで終わりかも」。大挙して現地入りしている報道陣からため息が漏れた。29日午後11時、日本大使館員が宿泊しているジェネラルサントスのホテル。吾川郡明治村(現高岡郡越知町)出身の中内続喜さん(85)ら元日本兵2人の生存情報に絡み大使館側が仲介役の日本人男性(58)との交渉断念をほのめかしたことで、事態は急転した。ミンダナオ山中で60年を生き抜いたという生存情報は事実なのか、事実でないのか。報道陣にいら立ちが募った。
元日本兵が現れる一瞬を取材しようと、ジェネラルサントスには日本やフィリピンの報道陣が大挙して乗り込んでいる。大使館職員が泊まる市内のホテルでは29日も報道陣約40人が度々職員を囲んだものの、職員は「仲介者と連絡が取れない。進展はない」と繰り返すばかり。報道陣からは「2日間、同じことの繰り返し」といら立ちの声が出ていた。
事態が動いたのは夜の11時すぎ。取り囲む報道陣に対し、大使館の小川修平書記官は「仲介者と連絡が取れた」と前置きし、「情報を東京に上げ、精査すべき段階に来ている。今のところ、今後仲介者と会う必要性はない」と発言。事実上の方針転換とあって、報道陣も一瞬、身を乗り出した。
これまで外務省が依拠していた元日本兵への道筋は、この仲介者ルートだけ。これで少なくとも当面は元日本兵との面会は不可能になったことになる。
さらに問題になるのは、元日本兵の生存情報自体の真偽。記者会見では報道陣から「真偽はどうなのか」との質問が出たが大使館側は答えなかった。
会見終了後、「(仲介者との)交渉は決裂か?」と念押しの質問をすると、大使館員は「察してください」と言うだけだった。
【写真説明】報道陣に囲まれ、質問に答える在フィリピン日本大使館の小川修平書記官=29日夜、フィリピン・ジェネラルサントス(共同)
(2005年5月30日付・朝刊)
|