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健康にこだわる食品
全国に名高い愛媛の温州ミカン。その風味はもちろん、高血圧予防効果があるという含有成分ギャバ(γ―アミノ酪酸)の増量技術も生かしたのが、いろは屋(松山市)の「みかん食パン」だ。
同技術を開発したのは愛媛県工業技術センター。温州ミカンのギャバ生成能力の高さは従来研究で分かっていたが、食品加工室の大野一仁主任研究員が、真空、常温で増量する現象に着目した。
研究を進めるうちに大気中でも増えることが分かり、ミカンの果肉などにグルタミン酸を添加し、低温(10度)で高濃度生成させる技術を2002年度までに開発。同研究員は「大気中、低温での生成なら特殊な設備が不要で、衛生管理もしやすい」と説明する。
【写真説明】高血圧予防効果があるというギャバの増量技術を生かした、みかん食パン
温州ミカン100グラム中のギャバは通常20ミリグラムだが、同技術により果皮で800、果肉で450、ジュース搾りかすで700ミリグラムに増加。同センターは04年1月に県内食品業界の会合で発表した。
同会に出席していた、いろは屋の正岡圭二社長(62)は「健康にこだわった新商品を作りたい」と考えていた矢先で、発表の内容に心酔。早速、技術提供を受け、ギャバ増量のミカン果肉を使った食パンの試作、改良を重ね、同年5月に同センターと共同発表した。
みかん食パンのギャバ含有量は、通常のミカン果肉を用い99年に発売した「みかんパン」の5倍以上で、100グラム中43ミリグラム(発芽玄米は10―15ミリグラム)。生地を混ぜきらず多層重ねにしてミカンの粒を分かりやすくしている。
正岡社長は「技術を知ったときはミカンの収穫が終わりで、確保が大変だった」といい、松山市内の直営4店舗で1日50斤ずつ販売。東京、大阪の物産展などから引き合いもあるが、「品質を落とさず、地域に密着したロングセラーにしたい」と考え、生産を拡大しない方針を貫いている。
「中小零細企業はアイデアが浮かんでも大手のような研究室がなく、実現しにくい」と訴える正岡社長。みかん食パンを手に「センターの支援に感謝し、このパン、そして一人一人の客を大事に育てたい」と語った。
(2005年6月12日付・朝刊)
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