
「ジャクリーヌが亡くなって、ずっとそこに保管されたままになっていたのだから、これまで人目に触れる機会はなかったでしょうね」
県立美術館で間もなく開幕するピカソ展を企画、監修するマルク・レステリーニ氏は笑顔で語る。
現在38歳、敏腕プロデューサーとの呼び声が高い。
同氏はパリ市内に自らの経営による美術館「ピナコテーク・ド・パリ」を昨秋オープンさせ、その館長を務めている。
同館の皮切りの企画として、ピカソの最期をみとったジャクリーヌ夫人の秘蔵コレクションによる展覧会を今年3月まで開催していた。この展示作品が本県で開催されるピカソ展の核となるものだ。
以前には「モディリアニ展」をプロデュースし、50万人近い入場者を集めた実績がある。今回のピカソ展も開幕5日間で1万人が訪れ、世界的にも注目を集めた。
「ピカソの親族や関係者も展覧会に訪れましたが、彼らも見たことのない作品があるとびっくりしていましたよ」
ピカソが1973年に亡くなって、ジャクリーヌはその遺産を相続する。相続税の支払いは作品の物納によってなされ、パリ・ピカソ美術館の収蔵作品の骨格となった。
しかし、最期まで彼女が手放そうとしなかった作品群があった。そこには自分の姿が描かれた作品が数多くあった。
ほとんど公開されることもなく保管されていたそれらの作品は「幻のジャクリーヌコレクション」として、その存在だけが広く知られていた。
「高知を皮切りとして、この展覧会を日本で開催できることは、私の喜びでもあります」
同氏は、展覧会の狙いは単に幻のコレクションを披露するだけでないと話す。
「ピカソはその愛情を込めてジャクリーヌの絵をたくさん描いています。今回の作品の多くは、ピカソが彼女に捧げたものであって、絵からはピカソの愛が伝わってくると思うのです。ジャクリーヌが亡くなってから30年ほどがたちます。この展覧会は当然なされるべきであったジャクリーヌへのオマージュなのです」
【写真】ジャクリーヌコレクションの魅力を語るマルク・レステリーニ氏(パリのピナコテーク・ド・パリ)