高知新聞
天気追加:
地震情報
台風情報
中部の天気
東部の天気
西部の天気

高知のニュース
国内・国際ニュース
おすすめトピックス

高知新聞購読申し込み

携帯サイト
iPhone版も登場!
坂本龍馬の部屋

とさあち
いちの土佐
おすすめグルメガイド

ピックアップ
楽しもう英語 English is Fun!!
岩崎四代物語
高知ファイティングドッグス

まんが
きんこん土佐日記web版
単行本7巻発売!
にゅーすけっち

病院・診療所 診療科目ガイド

ミュージアムマップ
イベント情報

音声ブラウザーご使用の方へ

47clubでお買い物

Google


 
高新写真コンテスト募集
声ひろばなど投稿
記事データのご利用
後援申請の用紙
サイトからのお知らせ


高新住宅総合展示場ライム

土佐いごっそう倶楽部

47news

釣りタイムズ
地球33番地公式サイト

企業情報
高知県内リンク
灰滅の海から

 (1)  恐怖の証人   私たちのそばにいる     続き


廃棄から一転、展示されることになった第五福竜丸。ビキニ環礁では同船以外にも、本県漁船延べ270隻など多くの船が被ばくしている(1975年、東京都江東区の「夢の島」)
 陸(おか)に揚げられた古びた木造船は、見上げるほどの高さがあった。船体だけで5メートル。マストの先端までだと15メートルある。長さ34メートル。140トンの船は意外に大きい。

 「第五福竜丸」―。

 1954(昭和29)年3月1日。静岡県焼津市船籍の同船は、太平洋中西部のマーシャル諸島・ビキニ環礁でアメリカが行った水爆実験によって、23人の全乗組員が被ばく。半年後、無線長の久保山愛吉さん=当時(40)=が死亡し、人類初の水爆犠牲者になった。放射性降下物はこの事件を機に「死の灰」と呼ばれるようになった。

 東京都江東区の「夢の島」に76年、第五福竜丸展示館ができた。これまでに約400万人もが訪れ、「悲劇」は後世に伝え継がれているようには見える。

 しかし、その傍らで忘れ去られようとしている事実がある。

 【写真】廃棄から一転、展示されることになった第五福竜丸。ビキニ環礁では同船以外にも、本県漁船延べ270隻など多くの船が被ばくしている(1975年、東京都江東区の「夢の島」)

    ■□■

 2月半ば、ある男性を県西部の町に訪ねた。半世紀前、あの「死の灰」を浴びたかもしれない人である。

 家の近くから電話をかけると、男性の妻は「息子に会ってくれませんか」と言った。息子さんに会った。男性は2年前、脳梗塞(こうそく)に襲われたと聞かされた。

 「受け答えがはっきりできないんです。すいませんが…」

 マグロ船船長だった男性は86年、高知新聞にこう語ったことがある。

 「(54年)3月1日の早朝でした。私と甲板員がブリッジで起きていると、真っ暗闇に稲妻が走り、水平線が急に明るくなりました。その後、オレンジと紫が混じった太陽が上がったようになりました…」

 水爆実験だった。

 ビキニ環礁から約370キロ東方。マーシャル諸島近海の漁場に向けて航行中の出来事だった。が、その時には水爆実験とは分からず、そのまま操業を続けた。

 異常な事態に巻き込まれたと気付いたのは、東京港に帰港した47日後。ガイガーカウンター(放射線測定器)を持った国の検査官が待っていた。測定器がガー、ガー鳴り続けた。船からも魚からも、自分の体からも放射線が検出された。

    ■□■

 被ばくしたのは第五福竜丸だけではない。この年の3月1日から5月14日にかけ、アメリカは「キャッスル作戦」と名付けた計6回の水爆実験を行っている。水産庁によると、周辺海域で日本漁船延べ856隻が被ばく。実にこの約3分の1、延べ270隻が本県の船だった。

 歳月とともに忘れ去られていた本県漁船の被ばくの実相を、被ばくから31年後の85年から追い始めたグループがある。「県ビキニ水爆実験被災調査団」(森清一郎団長、約50人)。幡多高校生ゼミナールの生徒たちと一緒に漁船員の証言をフィルムに記録、全容に迫ろうとした。

 活動は一時、休止されていたが昨秋、11年ぶりに再開。被ばく50年に向け、乗組員の健康被害の解明などに再び当たり始めた。

    ■□■

 「船室の隅々に灰がたまっておった」

 「船員は髪の毛や爪(つめ)を切られて調べられた」

 「当時の仲間は皆、早うにのうなってしもうた」

 再開された調査活動を追い、本県の被ばく者や関係者を訪ね歩くうち、こんな証言がぽつり、ぽつり聞こえてきた。「核の恐怖の証人」は、私たちのすぐそばにいる。(社会部・塚地和久

2004年3月1日付朝刊掲載

  「灰滅の海から」目次へ

  高知新聞フロントページへ


 

サイトマッププライバシーポリシーネット上の著作権新聞購読お問い合わせ