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室戸岬沖の南東約70キロ。「土佐ばえ」と呼ばれる海域の海底下約10キロに巨大な海山がプレート運動によって潜り込んでいることが平成12年7月、米科学誌サイエンスに発表された。
海洋科学技術センターの人工地震波探査で判明したこの海山の、潜り込む前の高さは推定で約3000メートル。山すその両端の距離は「富士山級」の約50キロにも達する。元は海側プレートの火山で、約200万年かけて現在の場所に到達したとみられている。
■破壊を阻止
横浜市にある同センターの「プレート挙動解析研究領域」チームは現在、南海トラフの巨大地震を総合的に把握する大掛かりな研究を進めている。
人工地震波で海底下の構造を分析し、地震発生帯の物質の特性を調べ、地震発生のモデルの構築を目指すとともに地震波や津波のシミュレーションをする。海山の発見は構造解析の成果であり、高岡郡窪川町の震源断層の調査は物質の特性をつかむ研究だ。
同チームの金田義行領域長が興味深い説明をしてくれた。「昭和の南海地震は紀伊半島沖の震源から始まった破壊が、海山である程度止まったと考えられます。破壊は海山を回り込むようにして四国の陸域にも広がっていますが、震源域から西方への伝播(でんぱ)は止めています」。余震も海山の東側でしか起こっていないという。
目には見えぬ海山が、地震をブロックする。海山がなければ、南海地震の衝撃はもっと西側に強力に伝わり、本県西部の被害を一層大きくしたかもしれない。
地震を検証する上で、深部の構造の解明がいかに重要かを示す一例だ。
■全体をつかむ
金田領域長らの南海トラフの研究は四国沖だけでなく、紀伊半島沖から東海沖までを含め広域に及んでいる。
東海地震のエリアには海の山脈である海嶺が二つ分潜り込んでいることが判明。一方、紀伊半島の東南沖の東南海地震のエリアでは、地震発生帯から分岐する巨大逆断層が発見されている。同様の逆断層が四国沖でも見つかっていることは既に紹介した。
「南海トラフの巨大地震は東海、東南海、南海の3海域で発生しています。しかも、関連性が高く、同時に発生したり、連続して発生しています。ですから、これを個別に研究するのではなく、南海トラフ全体の巨大地震発生システムをモデル化し、その中で各震源域を分析していくことが大事なのです」と金田領域長。
南海地震を知るには、他の二つの地震も知らなければならないということだ。
【写真】室戸沖の海山など南海トラフの構造を説明する金田領域長(横浜市の海洋科学技術センター横浜研究所)
(2003年11月22日付朝刊掲載)
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