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平成11年夏、日米共同チームが室戸沖の南海トラフで大規模な地震波探査を実施。海底下の様子を三次元的に描き出すことに成功した。
この時の調査船モーリス・ユーイング号は高知新港にも寄港、話題を呼んだ。2カ月間の探査で、南海トラフの謎に迫る新発見が相次いだ。
■地震発生帯
探査は、海側プレート(フィリピン海プレート)の陸側プレート(ユーラシアプレート)への潜り込みを追うように実施された。延長約80キロ。潜り始めから深部までの状態を連続でつかむためだ。
その結果、二つのプレートの境界の先端は滑らかな面をしているが、海底下7キロ辺りの深さになると、固着していることが分かった。つまり、海側プレートの上面は最初はするすると通過していくが、深くなると、陸側プレートとぴったりくっつく。この固着域こそ、南海地震を生む場所である可能性が高いという。
探査に加わった海洋科学技術センターの倉本真一・科学サービスグループリーダー(当時は工業技術院地質調査所所属)は「海底下の地層の浅いところは、水分も多くぶよぶよだが、深くなると圧力や熱で脱水が進み、固くなる。プレート境界が固着するからこそ、陸側プレートは引きずり込まれる。このひずみが限界に達すると、固着域は一気にはがれ、地震が起こると考えられる」とそのメカニズム=図参照=を解説する。
■巨大逆断層も
海側プレートは大量の堆積(たいせき)物を載せて移動して来る。南海トラフで潜り込むときに、堆積物ははぎ取られ、陸側プレートにどんどんそれを押し付ける。付加作用と呼ばれ、こうしてできた地層を付加体という。高知沖の海底や陸上も大半がもともとは付加体だ。
室戸沖に、付加作用で急斜面になっている水深3000―4000メートルの海底がある。日米共同チームの探査で、この海底下に深部から延びる巨大な逆断層が集中。一部は海底に到達していることも判明した。
たどると、プレート境界の固着域から延びてきているらしいという。「この断層は、南海地震で跳ね返った陸側プレートの最先端面の通過痕と考えられます。つまり、津波を起こした痕跡ではないかと」と倉本リーダー。
この海底にはメタンなどを利用する生物のコロニー(群生)があり、冷湧(ゆう)水がわき出している。この冷湧水に含まれるメタンは、海底下の深部で熱分解によって生じたものとみられている。
倉本リーダーは「メタンは、断層を伝わって海底に固着域の情報をもたらすメッセンジャーの可能性がある」と関心を寄せている。
(2003年11月18日付朝刊掲載)
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