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南海トラフは南海地震の代名詞のような存在になっている。南海地震は、南海トラフを震源に発生するからだ。政府の地震調査研究推進本部は平成13年9月、30年以内に次の南海地震が発生する確率は40%と発表。国民の関心は高まり、行政や研究機関も防災対策や研究に巨額の予算を投じ始めた。連載「南海トラフ―室戸沖深海底を探る」第3部「地震の巣」は、海底下をさらに深く入り、地震発生帯に迫る。科学のメスはどれだけ入っているのか。将来、地震の予知はできるのか。
■一気に跳ね返る
地球の表面は「プレート」と呼ばれる厚さ数十キロの岩板で覆われている。
南海トラフは、四国が乗った陸側のプレート(ユーラシアプレート)の下に、南方から海側のプレート(フィリピン海プレート)が潜り込んでいるためにできる。そのスピードは年4センチほど。
「海側のプレートが潜り込む際、陸側プレートも先端が引きずり込まれます。陸側プレートは徐々にひずみを蓄え、90年から150年たつと、とうとうこらえ切れなくなり、一気に跳ね返るのです。大きな地震波と津波が発生します」と解説するのは岡村真・高知大理学部教授だ。
これが繰り返し起こる南海地震の基本的なメカニズムだ。室戸市周辺が普段は徐々に沈降し、南海地震で一気に隆起する現象もこのプレートの動きを物語っている。
■広い震源域
過去の南海地震の震源は、四国沖から紀伊半島の南西沖に位置する。ただ、「震源」とは、破壊が始まった点にすぎない。破壊は点から一気に面状に広がり、ずれることを忘れてはならない。この破壊された面全体が「震源域」と呼ばれ、実際に地震で断層運動を起こした範囲だ。
政府の地震調査研究推進本部は、次の南海地震の震源域を想定している。範囲は北端は本県にも掛かる=図参照。
つまり、紀伊半島沖から始まった破壊は本県の地下にまで達し、陸上も大きく揺れる可能性が高い。マグニチュード8・4級になれば、破壊は100秒間にわたるという試算をする研究者もいる。
しかし、ダイナミックな地球の営みで形成された南海トラフを、人間がそうたやすく解明できるわけがない。
「南海トラフの地震発生帯の周辺には、たくさんの断層が見つかっています。ところが、どれが南海地震で動いた断層か、昭和の地震でさえ分かっていません。毎回同じところが動くのか、あるいは毎回新しく生じるのか。次の南海地震に役立てるためにも、海底下には解明しなければならない点がまだまだ多い」。岡村教授は語気を強めた。(社会部・高橋 誠)
(2003年11月17日付朝刊掲載)
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