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メタンは私たちの身近に多く存在している。どぶの中でわく泡、牛のげっぷ、人間のおならにも含まれる。共通するのは微生物の働きということ。微生物が有機物を分解してメタンが発生する。
とすれば、四国沖に眠る海底下のメタンも、微生物が作り出している可能性が高い。四国沖の海底は黒潮の恵みによって有機物が豊かだ。
■“住民票”作り
愛媛大沿岸環境科学研究センター(松山市)の鈴木聡教授は、高知大海洋コア総合研究センターとも協力しながら、海底下でメタンを作る微生物を調査している。
2年余り前まで高知大農学部に所属。海中の微生物や魚介類のウイルスを専門にしていたが、愛媛大に移る少し前から、海底下の微生物もターゲットにするようになった。
「平朝彦先生(海洋科学技術センター内の地球深部探査センター長)から『地球は微生物がつくった』と聞かされて、地球の変遷と微生物の関係に興味を持ったんです。その秘密が海底下を探ればあるのです」
鈴木教授はメタンハイドレートが豊富な南海トラフや北海道十勝沖で海底下にどのような微生物がいるか、“住民票”作りを進めている。微生物本体を探すのではなく、海底下を掘削して採取した試料(海洋コア)から、微生物のDNA(デオキシリボ核酸)を取り出して、その遺伝子配列で分類していく。
メタンを作る微生物のDNAは見つかっているのだろうか。「恐らくメタン生成菌であろう微生物のDNAが見つかっています。ただ、海底下の微生物は多くが酸素のないところで生きる嫌気性。深い海底下から生きたまま採取することは非常に難しく、実際にメタンを作っているかどうかも確かめることができません」
■米国で培養成功
生物は「古細菌」「真正細菌」「真核生物」に大別される。人間は真核生物、メタンを作る微生物はすべて古細菌だ。古細菌は、海や大気に酸素がほとんどなかった太古の地球で繁殖してきた。酸素の濃度が増えるに従って酸素が届かない海底下に潜り込んだと考えられている。
つい最近、米国から注目すべき論文が発表された。南海トラフで掘り取った海洋コアから、ある古細菌を生きたまま採取。培養に成功し、メタンを生産することも確認したという。鈴木教授によると、これが事実なら、現在唯一、メタンを作ると立証された海底下の微生物になるという。
やはり海底下はメタンを作る微生物が支配しているのか―。そう思ってしまうが、鈴木教授の調査結果には、まだその先があった。
【写真】海底下の微生物を探っている鈴木教授=左(松山市の愛媛大)
(2003年7月20日付朝刊掲載)
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