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南海トラフ―室戸沖深海底を探る―
第2部・コアセンターの挑戦 【2】
「ちきゅう」と一心同体
 5月のコアセンター完成披露式典。そこには海洋科学技術センター(JAMSTEC)の平朝彦博士の姿もあった。日本の海洋地質学の第一人者は、高知大関係者らにこうエールを送った。

 「これほどの設備を持った海洋コア(海底下を掘削して採取した試料)の研究施設は世界にほかにない。高知大学海洋コア総合研究センターは世界の『オンリーワン』であり、世界の『ナンバーワン』にならなければならない」

約2000平方メートルの規模を誇る巨大冷蔵庫の内部。近い将来、「ちきゅう」が掘った海洋コアが運び込まれる(南国市物部乙の同センター)  ■ 分析機器も同じ

 その「オンリーワン」のセンターは大きく分けて、「保管エリア」と「研究エリア」で構成されている。

 保管エリアは、平屋で6部屋。計約2000平方メートルの規模を誇る巨大な冷蔵・冷凍庫で、「ちきゅう」で掘削する試料を10年分保管できる。研究エリアは2階建て。レーザーやエックス線、磁気などを使った最新の分析機器、電子顕微鏡などがふんだんに装備された。

 コアセンターは各機器を2台ずつ所有。1つはセンター内に置き、もう1つは日本が建造中の地球深部探査船「ちきゅう」に貸し出す。

 「コアセンターと『ちきゅう』の分析機器が同じであれば、双方を行き来する研究者にとって使い勝手もよく、メンテナンスも楽」と安田尚登センター長は言う。

 「ちきゅう」とコアセンターは一心同体。統合国際深海掘削計画(IODP)の両翼といえる。しかしなぜ、こんな重要施設が地方の高知大に設置されたのだろうか。

 ■ 棚ぼた?

 コアセンターはもともと、同大が将来の深海底掘削をにらみ、「海洋コア研究センター」として平成12年4月、高知市曙町2丁目の同大朝倉キャンパスに開設。当時は施設建設費が獲得できず、同大の旧情報処理センター跡の小さな施設に入っていた。

 13年秋、文科省はIODPを15年秋にスタートさせるべく、13年度補正予算で海洋コアの大型保管・分析施設を建設する計画を打ち出した。当初はJAMSTECが建設する案が有力だったが、小泉首相が特殊法人に大型の新規事業を認めない方針を打ち出し、計画は頓挫した。

 そこで文科省は海洋研究所を持つ東大に打診。しかし、東大は同研究所本体の移転問題もあり、あっさり断る。次に話が回ってきたのが、海洋地質学に実績のある北海道大と高知大だった。高知大は受け入れを即答。一方、所帯が大きい北大は学内論議に手間取り、期限内に返答できなかった。高知大に決まった。

 安田センター長は言う。「棚ぼた、という人もいます。しかしそれを引き受ける環境と能力が整った大学は結局、高知大しかなかった」

 【写真】約2000平方メートルの規模を誇る巨大冷蔵庫の内部。近い将来、「ちきゅう」が掘った海洋コアが運び込まれる(南国市物部乙の同センター)

2003年7月16日付朝刊掲載


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