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海洋研究の新しい国際拠点が今春、高知に誕生した。
「高知大学海洋コア総合研究センター」。高知空港のほど近く、南国市の同大物部キャンパスに設けられたこのセンターは、簡単にいえば南海トラフなどの海底下を円筒状に掘り抜いた試料(海洋コア)を保管、分析する施設だ。「ただそれだけ?」との声も聞こえてきそうだが、この試料に地球の秘密が隠されているとしたら…。
「南海トラフ―室戸沖深海底を探る」第2部「コアセンターの挑戦」は、コアセンターが担う役割と、南海トラフの海底下に潜む未知の世界に焦点を当てる。
■ 最深7キロの試料
「コアセンターが世界の海洋研究の拠点として発展し、フロントランナーとして走ることを誓います」
5月24日、各界の代表約150人が出席したコアセンターの完成披露式典。同大の山本晋平学長はこう高らかに宣言した。
コアセンターは鉄筋コンクリート2階建て(一部平屋)。総工費約50億円。延べ床面積約6600平方メートルと、単体の研究施設としては同大の中でも群を抜いて大きい。
一地方大の施設でありながら、全国の研究者が活用する文部科学省の「全国共同利用施設」。運営費は同大と文科省の認可法人、海洋科学技術センター(JAMSTEC、神奈川県横須賀市)が共同負担することからも、並の大学施設でないことが分かる。
「ここで保管、分析するのは、間もなくスタートする統合国際深海掘削計画(IODP)で掘削する最深7キロにも達する地球深部の試料。そこから一体何が見つかるか、私たちも想像できません」とコアセンターの安田尚登センター長は語る。
■ 威信懸けた計画
IODPは日米主導で行われ、欧州やアジアも含め20カ国以上が参画を表明している。この計画の日本側の中核機関がJAMSTEC。現在、約567億円をかけて地球深部探査船「ちきゅう」も建造している。
同船は全長210メートル、57500トンという巨大な掘削船。年内にはほぼ完成し、来年から試験航海に入り、3年後には就航して、世界中の海を駆け巡る計画だ。維持費も巨額で、試算では運航に要する経費は一日当たり何と数千万円。まさに国家の威信を懸けた取り組みといえる。
IODPでは米国も掘削船を提供するが、これらの船で海底下を大掛かりに掘削していけば、当然、試料を分散させることなく効率的に保管し、分析していく施設が必要になる。それこそが高知大のコアセンター。太平洋を望む拠点から、地球科学の新たな扉が開こうとしている。(社会部・高橋 誠)
【写真】関係者がテープカットで完成を祝った高知大海洋コア総合研究センターの完成披露式典(南国市物部乙)
(2003年7月15日付朝刊掲載)
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