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高知大理学部の岩井雅夫助手は、海底地質学や層位学が専門。室戸沖の海底地形に詳しく、海洋科学技術センターによる室戸沖海底への「先端観測ステーション」の設置にも地元研究者として深くかかわってきた。
■起伏富む地形
室戸沖の海底は、南海トラフの底に向かって下り坂になっている。岩井助手によると、室戸沖の南海トラフは海底地滑りが繰り返し起こり、起伏に富んだ地形が広がっているという。
「平均すれば傾斜は2度から3度くらいですが、急な所は25度から30度くらいになります」
25―30度の傾斜といえば、紙に書けば緩い感じがするが、実際はかなりの下り坂だ。「スキー場で初心者がのぞいたら足がすくむ角度です」と岩井助手。車なら10度の傾斜でもスピードに要注意だ。
ステーションはそんな急傾斜の地形の中で、地滑りの影響で比較的平らになった場所に設置された。室戸側から見れば、沖合110キロ、水深3,572メートルの海底。トラフの底に達する少し手前の陸側斜面に位置する。
周辺の岩塊は、砂岩とシルト岩(砂と粘土の中間の細かさの土からできた岩)などの互層でできている。岩塊といっても陸上の岩とは硬さが違う。岩井助手は「手で折ろうと思えば折れる硬さです」と言う。
そんな岩塊もプレート運動や繰り返される南海地震によって、「数百万年から1000万年ほど後には陸上に顔を出すでしょう」と岩井助手。逆にいえば、室戸岬のごつごつした岩塊の太古の姿がそこにあるというわけだ。
■生物を狙う
ステーションは同センターの海底地震総合観測システムの一部。ビデオカメラで海底を観測するのは、地震活動と生物の活動の因果関係を科学的に解明していくためだ。当然、生物のいる場所に設置する必要があった。
岩井助手らはシロウリガイがいる場所にステーションを投下した。シロウリガイは外から硫化水素を取り込み、体内の細菌に化学合成させてエネルギーを得ている。
シロウリガイがいるということは、海底下からメタンや硫化水素を含んだ水が染み出ている可能性が強い。他の深海底生物が集まりやすく、特有の生態系が観察できる、というわけだ。
深海底のビデオカメラは、膨大な量の映像を収め続けてきた。殺風景な海底も、時間をかけてじっくり観察していくと、予想以上にたくましい生物たちが存在していた。
【写真】室戸沖の南海トラフに設置された先端観測ステーション(海洋科学技術センター提供)
(2003年5月17日付朝刊掲載)
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