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「過去に市財政に貢献してきたといっても、今の厳しい財政では資金投入という議論にはなりません」
大分県中津市競馬対策室の職員は、渋い顔でこう言った。
廃止された中津競馬の累積赤字は20億9800万円(平成12年度末)だった。
中津競馬は島根県益田市が主催する益田競馬と同様、人口6万7000人の中津市が単独で運営していた。
5年度に5億円以下だった累積赤字は、景気の落ち込みと同時に一気に膨らんでいった。特に9年度、10年度と続いた4億5000万円前後の単年度赤字が大きかった。年間250億円規模の中津市財政からすれば「これ以上は許されない赤字額」。そんな中で、市長の「突然の廃止宣言」が出た。
「ショッピングセンターに場外売り場ができたのが平成10年です。それでもこれほどの赤字。市議会での市長答弁も『万策尽きた』という内容でした」
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競馬の廃止後、中津市は負債処理を進めた。
更地になった競馬場跡地の総面積は26・8ヘクタールだった。所有は中津市、中津競馬組合、隣接する神社の三者。このうち競馬組合所有の約12ヘクタールは土地の鑑定評価に基づき、約17億円で市土地開発公社に売却された。累積赤字との差額、約3億7000万円は市の一般会計から穴埋めした。
その跡地をどう利用するか。浮上したのは一帯を公園として整備する「水の杜(もり)」構想だった。
隣接する貯水池などを生かし、県営事業で公園にする。自然と親しむ場にするため「ボートデッキ」「湿地ビオトープ」「野鳥観察の杜」などを設ける。オープンは14年後。
「公園になるんです。僕らからすれば、やっぱり、やりきれんです…」
競馬関係者の一人はつぶやいた。公園の整備予算は40億円規模ともいわれている。
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中津競馬の関係者は各地に散り散りになった。
15人いた調教師のうち、3人は他場に移籍。1人が荒尾競馬(熊本県)の厩務(きゅうむ)員になり、4人は自動車販売業などに転職した。7人は引退した。
14人の騎手たちのほとんどは、よその競馬場に受け入れられた。以前から交流が深かった荒尾競馬や佐賀県の佐賀競馬、兵庫県の園田競馬などに移籍した。装蹄(そうてい)師は牧場へ、獣医師は地元の動物病院へ…。
九州は競走馬の生産地として知られていた。中央競馬も含め、「九州産馬限定レース」を行っている競馬は幾つかある。しかし…。
「馬産地といわれますが、今はほとんど聞きません。熊本、鹿児島、宮崎辺りなんでしょうが、年に何頭が生産されているやら…」
地元に残る厩舎関係者に聞いても、現状を知る手掛かりはなかった。
益田も九州も、競馬は斜陽にあえいでいる。中津競馬から騎手6人を受け入れた荒尾競馬を訪ねた。
【写真】一つ、また一つと廃止…。地方競馬は斜陽にあえいでいる(島根県の益田競馬場)
(平成15年2月7日付夕刊掲載)
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