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「僕は農水省にいたからね。(競馬を所管する)畜産局長に言われたんだ。『もうやめたらどうですか』って。やめるべきだ、とはっきり言う市議会議員もいないんだよね」
大分県中津市役所。市長室で、鈴木一郎市長(68)は話し始めた。
同市長は中津競馬組合の管理者。平成13年2月、地方競馬の先陣を切る形で中津競馬の廃止を決めた人物だ。
東大法学部を卒業後、農林水産省入り。東京営林局長、東北農政局長を経て、昭和62年に林業信用基金理事から中津市長に初当選した。現在4期目。
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――関係者の多くが「突然の廃止表明」と憤っている。
「毎年、競馬の運営許可を受けるために東京に出張する。そのたびに悩んでいたんだけどね。売り上げが一向に増えなかったんだよね。このまま赤字が続くと、市の一般会計から埋めるしかなくなるような状態だった」
――時間をかけて存廃を検討する必要もあったのではないか。
「もう1年延びてたら負債処理はできなかったと思う。リーダーとしての責任能力は『やめる』という決断力だ。新潟(県競馬)の廃止は、知事が日銀出身だから合理的な判断をされたんだと思う。再び景気のいいときが来るなんて思ってちゃいけない。今の時代に求められているのはコーポレート・ガバナンス(企業統括、企業管理)なんじゃないかな」
――高知競馬はすぐには廃止を判断せず、存廃について検討をしている。
「高知競馬の場合は失礼だけど、とてもやめられないと思うね。累積赤字はいくら? 『やめるしかない』と思いながらも、『やめられないだろう』と思っている節がある。選挙も近いんでしょ?」
――(補償でもめたことについて)関係者の生活のことは考えなかった?
「今は地方自治法の運用が厳しくなっている(だから雇用関係のない者に補償は出せない)。単なる心情でやるわけにはいかんからね。協力見舞金は、市議会も『出せ』というふうになったから」
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鈴木市長は、中津競馬の廃止を「ベストと言えるほかの判断はないと思っている(つまり競馬廃止が最良の選択だった)」と言い切った。そしてこんなことも言った。
「以前、オフィスアルカディア事業(企業誘致を狙う国の補助事業)というのがあってね。高知県の南国市さんを含め、全国15の自治体が手を上げた。でも、中津市だけが途中でやめた。(造成した企業誘致用の土地に)いま何社の企業が立地してる? やめて良かったよ。いざというときにやめることも大事なんだ」
鈴木市長は、最後まで自信にあふれていた。
【写真】「ベストと言えるほかの判断はない」と話す鈴木市長(大分県中津市役所)
(平成15年2月6日付夕刊掲載)
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