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ことし5月16日夜、須崎市民文化会館で開かれた市主催の津波対策セミナー。約600人が詰め掛けた大ホールで、先に紹介した国土交通省の津波・浸水シミュレーションが市民に初めて報告された。
避難地図作製へ
「市街地水没」―。浸水状況が刻々と変化するシミュレーション映像を、市民は食い入るように見つめた。最新の情報解析によって淡々と示される「その時」への警告に、あらためて危機感を強めたに違いない。
セミナーに際し、市役所内部では「不安をあおる」と心配する声もあったという。しかし、「事は人命にかかわる。情報を出さなければ。その上で市民に避難対策を考えてもらいたい」。今春新設された総務課防災係の西村精二参事は言う。
津波セミナーは、大きな浸水被害が予想される地区などでも順次開催。住民との協議を重ねつつ、浸水時間や波の方向予想などを盛り込んだ地区ごとの避難地図の作製も進めている。
須崎港に程近いJR須崎駅の西方。昭和南海地震で多数の犠牲者を出した原町周辺を歩いた。
細い路地を抜けてアスファルトの階段を上ると、数分で城山公園に着く。周辺の避難場所でもある城山からは、旧市街地が一望できる。
大きな被害が懸念されるこの一帯は、古い建物や路地が多い。「家やブロック塀が倒壊し、避難路がふさがるのでは…」。防災係の不安だ。
城山公園北側の山腹では、300人ほどが避難できる高台の造成が進んでいた。しかし、高台に通じる道は人と人が行き交うのがやっとの感じで、市は避難路の拡幅にも着手している。こうした備えが市内全域できめ細かくできればいい。が、財政難の折、ハード整備は容易には進まない。
マンション活用も
現在、21カ所が避難場所に指定されているが、関係者は「少ない。『公民館』と指定されていても、実際は山に逃げた方が早い、非現実的な所もある」。
このため市は、激震に耐え、津波被害も免れることができる民間マンションなどを探し、緊急時に使用させてもらう交渉も始めている。
防災行政は一歩一歩進んでいる。しかし、果たして「その時」までに間に合うのか。また、「備え」は決して行政だけの責任でもないはずだ。
市民の意識は高まっているだろうか。
【写真】城山公園の北側の山腹に造成中の避難場所(須崎市池ノ内)
(2003年10月26日朝刊掲載)
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