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一枚の図がある。次の南海地震で須崎市はどうなるのか? その答えの一つを示すため、国土交通省高知港湾・空港整備事務所が作製した同市周辺の浸水想定図だ。
濃淡の青は、陸に押し寄せる「海水」。よく眺めると、平地の市街地はほぼ完全に水没してしまっている。
「その時」、この青色の空間に、叫び、逃げ惑う人々がいるかもしれない―。
40分で大半浸水
明朝の満潮時、安政南海地震と同じマグニチュード(M)8・4(昭和南海地震はM8・0)の地震が起こる、と仮定する。あり得ない話ではない。土佐湾沖に複数想定した震源のうち、「須崎市に最も早く、高い波が来る」震源を基に解析すると、先の浸水想定図になる、という。
この場合、地震発生から20分弱で第一波の津波が到達、市街地の西を流れる新荘川河口付近から浸水が始まる。須崎港沿いの浜町や港町、そして最奥の大間地区なども30分以内に、そのほかの市街地も40分以内には水につかる。
津波は、海岸部を乗り越え、あるいは川をさかのぼって市内に入る。堤防からあふれた水などは、やがて市街地を大きく巻き込むような流れになる。前回紹介した市川義夫さん(67)の家族の命を奪ったのも“陸側からの波”だった。
海面全体が防潮堤を1―2メートル超す高さまで盛り上がるイメージという津波。一時間弱の周期で二波、三波と押し寄せる。市街地は、一部高台を除きほぼ全域が人の背丈を上回る海水に見舞われ、ざっと6、7割が3メートル以上の水に襲われることに。浸水深は最大で6メートルを超し、水は海岸から3キロ以上離れた内陸部にも達する。恐らく、漁船は陸に打ち上げられ、港から流れた木材が次々と家を直撃している―。
死者60人以上も
「20分、30分あると思わず、一分一秒でも早く、高い所に逃げることだ」
同整備事務所の高橋吉弘工務課長は言う。平成5年、県がM8・0で予測した須崎市の死者数は60人。市の担当部署は「最悪の場合、それ以上の被害を想定しなければ…」と話す。
市の津波対策の最たるものは須崎湾入り口に整備中の津波防波堤。完成すれば「昭和南海クラスの地震なら浸水被害はほとんどない」とされ、例えばM8・4の地震でも市街地への浸水時間を「おおむね5―10分、遅らせることができる」という。
防波堤を見るため、船に乗った。
【図】国土交通省が作製した須崎市の浸水想定図
(2003年10月24日朝刊掲載)
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