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「小規模」集中後に注意を 尾池教授の特別講演
地震学の権威で、京都大の次期学長に就任する尾池和夫副学長(63)=京都市宇治市=を招いた「ふれあい高新in須崎 特別講演会」が10月31日夜、須崎市新町2丁目の市民文化会館で開かれた。尾池副学長は「次の南海地震に備える」をテーマに、発生前の特徴や客観的な予測データなどを紹介し、市民ら約350人が熱心に耳を傾けた。講演要旨は次の通り。
これから数十年以内に必ず高知県で大地震が起きる。大きな揺れと津波が来るのは、地球の自然現象として逃れようがない。その時、いかに災害を起こさないようにするのにはどうすればいいかを皆さんに考えてほしい。
地球は15枚に分かれた、厚さ約100キロのプレートと呼ばれる岩板で覆われ、それぞれ向きの違う運動をしている。すると、プレートとプレートがぶつかって押し合う境界と、離れようとする境界ができる。プレート同士の運動で力が加わり、岩板が割れて地震が起きる。海の底で岩板が大きく割れると、大きな津波につながる。
プレート同士がぶつかると重いプレートが軽いプレートの下に潜り込むが、その現象が世界で最も激しく見られるのが日本列島付近の海底だ。重いプレートが潜り込む境界では軽いプレートが巻き込まれ、引きずり込まれるように曲がる。軽いプレートがその曲がりに耐え切れなくなると岩板の破壊が発生。それまで曲がっていたプレートが元の真っすぐな形に戻ろうとしてはじけるように激しく動く。これがマグニチュード(M)8以上の巨大地震につながる。
それが実際に起きたのが、9月26日に発生した十勝沖地震だった。
南海地震も同じ原理。南から日本列島の方向に進むフィリピン海プレートが、四国などがあるユーラシアプレートの下側に潜り込む。その境界が室戸岬沖の「南海トラフ」で、巻き込まれるユーラシアプレートが曲がりに耐えられなくなると南海地震が起きる。
また、プレート同士が押し合って岩板が割れる現象が同じ地域で繰り返されると、「くせ」になる部分ができる。それが活断層。これはM7級の地震を起こす。
四国の中央、高知県のすぐ北側には「中央構造線活断層」という、世界でも第一級の大きさの活断層がある。これが動くと、M7・5級の地震になるといわれる。
わが国で20世紀に起きたM4以上の地震は2万数千回。ちなみにM5以上の地震は約5400回で、週1回程度。M6以上(約1000回)は月に1回程度。兵庫県南部地震(阪神大震災)をはじめM7以上のかなり大きな地震でも109回と、年に1回は起きている。
わが国に残る史料を基に京都の有感地震と南海地震の関連性をみると、京都で有感地震が増えると南海地震が起きる。発生後はしばらく有感地震も減り、また増えだすと次の南海地震が起きている。
他のデータも合わせ、次の南海地震の発生時期を推測すると、2030年代の後半ぐらいか。
次の南海地震は、兵庫県南部地震よりもかなり広い範囲で岩板の破壊が起こる。50秒ぐらいガタガタと揺れ続け、最後にドーンと巨大な揺れが来る。震源が深いところなので、大きな津波も発生する。現在、推定される地震の規模はM8・4だ。
予測の一例では、南海地震が2010年までに起こる確率は約60%、30年までは約80%。さらに40年までの確率は約90%。いくら遅くても40年には、まず間違いなく巨大地震が起きる。
活断層が原因の小規模な地震が西日本で集中的に発生し、駿河沖から四国沖にかけてのエリアを震源にしたM6級の地震が続けて起きるようなことがあれば、「そろそろ“本番”かな」と考えていいだろう。
細かい話だが、今は就寝中に中規模地震が起きる場合を想定し、寝る場所には何も落ちてこないようにした方がいい。南海地震はすぐに来るわけではない。慌てず、じっくり備えてほしい。
おいけ・かずお 東京都生まれ。土佐中、土佐高校を経て京都大理学部卒。同大防災研究所助手、同助教授を歴任し、昭和63年に理学部教授。平成13年に副学長。ことし12月から学長に就任予定。専門は地震学。地震予知連絡会委員、国立極地研究所評議員。
(2003年11月2日朝刊掲載)
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