今年の国内競馬界で最も幅広い人気を集めた馬は、まだ一度も勝ったことがない高知競馬の7歳牝馬「ハルウララ」。
高知競馬でデビューして5年。6月の88連敗の時点で本紙夕刊で報道したところ、90連敗をすぎたころからマスコミが殺到。半年で約120社が報じ、米英、カナダ、スペインなど海外メディアも取り上げた。
降ってわいたブーム。生活が一変したのは、中学校卒業後から面倒を見続けているきゅう務員の藤原健祐さん(20)と宗石大調教師(52)。
「取材がすごくて。ずっと休みなしで寝る間もない。しんどくて正直限界やが、ありがたいことやし、こういう性格やし、笑顔で応じてます」と宗石さん。
「風邪ひかれんからと、風呂も入れん。100戦目までに体調崩したら大ごと思うて。朝着た服でも昼に着替えるようなきれい好きやに…」
12月14日の100戦目は、普段の約3倍に当たる約5000人が来場。場内のクイズに答えた約1300人の分析結果では県外客が約3割を占め、北海道から九州まで30都道府県から来高。しっぽの毛を入れたお守り2000個(1個300円)は約3時間で売り切れ、前売りの窓口は長い行列…。
登場した第7レース。パドックは第6レースから場所取り客で満員。ハルウララが姿を見せると一斉にカメラ付き携帯電話が向けられ、子どもたちは声援と拍手。レース結果は9着に終わったが、実力とは裏腹の圧倒的な一番人気に押され、単勝の売り上げは高知競馬史上最高を記録した。
存廃問題に揺れた高知競馬は今年2月、累積赤字など総額約129億円を県と高知市が全額負担した上で、赤字を出さない「出来高払い方式」での存続が決定。ただ一方で、一般レースの賞金は10万円台、出走で馬主が受け取れる手当は最高でも4万5000円と、苦境であることに変わりはない。
「負け組の星」と形容されるハルウララは、そんな高知競馬にとっても救世主。「ウララさまさま。来年3月の黒船賞で武豊騎手に乗ってもらうファンサービスも一案では」と県競馬組合。
“日本一愛される馬”の次走は来年1月2日の予定。
【写真】100戦目のレースでパドックを歩くハルウララ。左から藤原きゅう務員、古川文貴騎手、宗石調教師(14日、高知競馬場)
(平成15年12月27日付朝刊掲載)
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