1・5車線道路、病院PFI事業…。高知県が全国に先駆けて展開する施策や制度はいくつかある。そこにまた一つ、新制度が加わった。森林環境税――。県が15年度から導入した。
地方分権の名の下、課税自主権を行使しようとする動きが広がり、森林保全目的の新税制導入を検討する都道県は34に上る。愛媛県は17年度からの導入を決めた。森林の水源かん養機能が見直される一方で、杉・ヒノキの人工林主体の森林は、手入れ不足から荒廃が進んでいるためだ。
「山を守るための財源が欲しい」と、山村自治体がいくら声を上げても、国は一向に動こうとしない。それなら―という流れが生み出した本県の森林環境税は、個人、法人の均等割県民税に一律500円を上乗せして薄く広く徴収する方式。
1年間に見込む税収額は約1億1800万円(初年度)。相当額を基金として積み立てて、運用に際しては県民の声を反映させるため学識経験者や林業、教育関係者らでつくる委員会を立ち上げた。
気になる使い道は、主要ダムや水源上流域など公益上緊急に整備する必要がある森林を所有者の同意を得て「強度間伐」し、山へ直接投資する手法が一つ。このほか啓発・広報活動費と「こうち山の日」の推進事業費に充てる。
この「山の日」もまた、荒れる森林、過疎にあえぐ山村へ県民の意識を差し向けるため、県がことし県民参加で立ち上げた“仕掛け”だ。
創設を提唱する声に橋本大二郎知事が呼応し、昨春に制定を表明。その日を県民アンケートで一番人気だった11月11日に決め、「とにかく山へ入ってみる」を合言葉にさまざまな運動が積み重ねられた。
県森林局によれば「山の日」に関連して展開された事業は計101、延べ約1万6000人が参加。学校単位や県森林総合センターの里山林での森林学習などを含めると、276事業、約2万5000人に膨らむ。
支援の手を待ち望む側には「まだそれだけ」かもしれない。が、2003年が、全国一の森林率を誇る土佐の山々とそこに生きる人々の輝きを取り戻そうとする「再生元年」となったことだけは間違いない。
【写真】「こうち山の日」制定にちなみ、間伐にチャレンジする小学生。さまざまな取り組みの積み重ねが「山」を動かす(香美郡香我美町)
(平成15年12月23日付朝刊掲載)
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