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「結いの里」の明日  ◆6◆

 力を集めて  あす2度目の誕生祭

中芸の町を駆け抜けるなはり線。地域を貫く鉄道は、結いの里の新たなシンボルだ(田野町)

 地理的、生活的に密接な関係を保ちながら、それぞれの歴史、風土、産業に応じた発展を遂げてきた中芸5町村。その過程で培われてきた町づくりの工夫や人材、人のぬくもりは、まばゆいばかりに輝く地域の宝だ。

 だが、時代の風は小規模自治体に冷たい。少子高齢化、農林漁業や商工業の低迷。そして国主導の市町村合併の大きな流れは、小さな町村の存在意義そのものを否定しつつあるようにも見える。

 早すぎた構想

 中芸地域にはかつて、興味深いプロジェクトがあった。

 平成元年に立案された「結いの里」構想。当時、同構想実行委員会のチーフを務めていた田野町教育長、西山均さん(54)は振り返る。

 「各町村の若者らで、地域の未来はどうあるべきか考えたんです。で、出た結論がみんなで助け合おう、大同団結しようということ。純粋にロマンを求めた取り組みで、どうしてもやらなければという焦りはなかった」

 3年には大々的に「結いの里誕生祭」を開催、3500人以上を集め連携をアピールした。その後も各町村でイベントを開いた。ところが、誕生祭から五年ほどで活動はしぼみ始める。

 「大きなイベントをやったことで、逆に目標を失った。本当は皆が一緒に何かに取り組むことが大事なのに、その必要性をまだ実感できていなかったんでしょうね」

 西山さんは原因をこう分析する。スタッフの一員だった元奈半利町商工会経営指導員、大木達栄さん(50)は「構想は時代が早すぎた。状況がようやく追い付いてきたのかな」とつぶやいた。

 なはり線契機に

 行政の枠組みとともに、小さな地域の良さも消し飛ばされそうな時代だからこそ、“五本の矢”にまとまらなければならない。しかし、人が動くにはきっかけが必要だ。

 大木さんは、地域を貫くごめん・なはり線が最大の起爆剤と見ている。

 「外に出ていくためだけに使うか、それとも人を迎えるものにするか。新しい提案をしていくなら、単独より広域の方がアイデアは広がる。それが突破口になるのでは」

 では何から取り組むべきなのだろう。「産業振興や地域づくりに生かせる材料は、各町村にごろごろある。いろんな“色”を見せられるのが中芸の魅力。今あるものをうまく伝えられればそれでいい」と、大木さんはさらりと言ってのけた。

 豊かな自然、文化といった一見ありふれたものが胸を張れる宝物であり、それを見つめ直そうというわけだ。

 集まれば大きなことまでできるのが中芸の強み。「お互いのために助け合う」という結いの精神を今こそかみしめたい。7月1日迎える鉄道の開業は、「結いの里」2度目の誕生祭なのかもしれない。

 (中芸支局・高本浩史

 =おわり=

 【写真】中芸の町を駆け抜けるなはり線。地域を貫く鉄道は、結いの里の新たなシンボルだ(田野町)

平成14年6月30日付朝刊掲載


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