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「結いの里」の明日  ◆4◆

 北川村  ユズ復権へ有志結集

試作した有機ユズ果汁。北川のユズ全体の底上げへの期待が集まる(北川村加茂)

 県東部の代表的作物の一つに数えられるユズ。中でも安芸郡北川村は、安芸市とほぼ同じ耕作面積(12年度現在101ヘクタール)を誇る大産地。村内の農家の8割がユズ作りに励んでいる。

 しかし近年、玉出しでは香美郡物部村などが台頭。お隣の馬路村は、ゆずドリンクなど加工品の爆発的なヒットで、“ユズの里”のイメージを確立した。昭和46年から村ぐるみで取り組んできた北川村の影は次第に薄くなりつつある。

 金にならない?

 「このままじゃいかん。北川ブランドのユズをもう一度盛り上げよう」

 平成7年4月、15戸のユズ農家有志が集まり「北川村自然農法柚子生産者組合」を結成した。組合長の池田チ平(しょうへい)さん(59)は「これからの消費者ニーズは安全、安心、健康。そう見込んで無農薬、無化学肥料のユズ作りを始めました」と振り返る。

 12年には、改正JAS(日本農林規格)法に基づく有機農産物の認定をユズでは初めて獲得。食の安全がクローズアップされる昨今、随分もうかっているのでは――と思いきや、池田さんの表情はさえない。「うーん…現状では、普通のユズ作りの方が金になりますね」

 理由は収量にある。玉の単価自体は普通のユズの7―8割増しだが、同じ耕作面積では一般のユズの3割程度しか収穫できない。「高品質を売りとする以上、形なども一定水準に達していないと出せない。有機は見た目がどうしても悪くなる」(池田さん)からだ。

 果汁販売に期待

 有機農産物は認定を受けた後も、周囲からの農薬飛散対策や作業記録の管理などを行う必要があり、普通のユズに比べれば栽培に格段の手間が掛かる。なのに収入は下がるとなれば、進んでやりたがる農家はそういない。

 だが組合は前向きだ。「有機栽培は、今後のユズ作りに不可欠な視点。あとは金になる仕組み作り」(池田さん)。その一つの策として今年から始めたのが、果汁の生産だ。

 見た目が劣る有機ユズ玉も、品質は変わらない。加工すれば、見た目の問題はクリアされる。料理などに使われる果汁には、食の安全がクローズアップされる今、きっと強いニーズがある――そう踏んだわけだ。

 まだ瓶詰め果汁の試験販売の段階だが、今年の収穫分からは小売りできるようにしたいと池田さんは考えている。「まずはやっぱり、県内で売りたいね。どこか扱ってくれないかなあ。…だけど、買ってくれれば県外でもいいか」と笑った。

 北川のユズ復権に寄せる、有志らの熱い思い。何度壁に当たろうとも、くじけることはなさそうだ。

 【写真】試作した有機ユズ果汁。北川のユズ全体の底上げへの期待が集まる(北川村加茂)

平成14年6月28日付朝刊掲載


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