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田野町 “サロン”で支え合う

ある日の昼下がり。安芸郡田野町の老人福祉センターに集まった20人ほどのお年寄りが折り紙を楽しんでいる。
「じゃあね、今折ったところをもう一度三角に折ってみましょ」「え、どういうふうに?」「ちょっと見よってね…こう、分かるかしら?」
戸惑っているお年寄りには手を添え、丁寧に教えるスタッフ。「昔はこうやってよう遊んだねえ」。お年寄りは少し手を休めてそうつぶやき、スタッフにほほ笑んだ。
高齢者同士の事業
週3回のこの集まりの名称は「にこにこサロン」。家にこもりがちなお年寄りの社会参加を促し、頭や体を働かせて自立度を維持していこうと、町の委託を受け町社会福祉協議会が11年度から始めた事業だ。
介護保険制度のスタートで、デイサービスが利用できなくなる比較的元気な高齢者を対象に始めた。利用者は60―92歳の約60人で、多くは75歳以上。一方、スタッフは町民のボランティアで、その数およそ45人。年齢的には65―75歳の人が多い。つまり、前期高齢者が後期高齢者を支えるという構図になっている。
この日の折り紙をはじめ、遠足やゲームなどのプログラムはすべてスタッフが企画し準備する。かなりの負担に思えるが、ボランティアの1人、浜川昌子さん(66)はこう言って笑う。「喜んでもらおうというより、一緒に楽しもうという気持ち。年もそう違いませんから、話も合いますしね」
相乗効果導く
田野町は中芸地域の中でも、介護保険のサービスを受けない元気な老人が多い。65歳以上の高齢者に対する要介護、要支援認定者の割合は、中芸の他町村が15―18%のところ、田野町は12・3%に抑えられている。
中芸広域連合介護サービス課の真嶋清重課長は「高齢者同士が支え合うサロンの取り組みは、数ある元気老人対策の中でも先進的な部類。一概には言えないが、認定者数の低さにはこういった施策の成果もあるのでは」と話す。
利用者の感想はどうだろう。アンケートを取ったところ、内容に不満を訴えた人は皆無。そして「前より元気になった」「友達が増えた」「楽しみが増えた」といった感想が多く寄せられた。同社協の安岡恵実・地域福祉活動コーディネーターは「自分の居場所があり、多くの人とかかわる。そうした中で、心の自立が進むのではないでしょうか」と分析する。
安岡さんはまた「ボランティアの方の生きがいにもなっている部分がある」と言う。浜川さんも「いい企画はないかなあって、普段から考えてる。その企画が喜んでもらえたら、うれしくてまた頑張るの」。相乗効果をもたらしているサロンの取り組みは、高齢化社会の将来を探るモデルケースと言えそうだ。
【写真】ボランティアと一緒に折り紙を楽しむお年寄り。いつも和気あいあいとした雰囲気だ(田野町老人福祉センター)
(平成14年6月27日付朝刊掲載)
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