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▼9月26日朝刊掲載
【すべての人に】 夢乗せて一生懸命
先月末からスタートした映画「ハルウララ」の高知ロケは24日、笑顔と拍手に包まれ無事終了しました。
「厩舎(きゅうしゃ)団地の人とは家族同様のお付き合いをした。厩務員さんの釣ってきた魚で『お刺し身パーティー』をしたり、こちらが焼き肉に招待してカラオケまで一緒に行ったり…」と振り返るのは、毎日笑顔で現場の空気を和ませた美術部の金田克美さん。
「僕らが撮影で使った厩舎で馬糞(ばふん)を掃除していると、厩務員さんが『その仕事を汚くて臭いと思うか、かわいく、いとおしいと思うかがすべて』と。普遍的なことを現場の言葉で話すんです」。競馬場での心の交流を一言一言、かみしめています。
口数少なく、いつも寡黙に観客の声や馬の息遣いをマイクで拾い続けた録音部、横溝正俊さんもしみじみ。
「高知は19年前に武田鉄矢さん主演の『刑事物語4 くろしおの詩(うた)』のロケ以来。帯屋町で警察署長役の植木等さんを撮ったり。そのころの追手筋は屋台がいっぱいあって…。ああ、だんだん思い出してきちゃったよ。映画がヒットして凱旋(がいせん)したいなあ」
映画の公開は来春。日本全国を元気にしたウララは、スクリーンでも一生懸命走ります。
社会部・佐藤邦昭、村上和陽 =おわり=
【写真説明】スタッフ一同「バンザーイ」。たくさんの思い出を残して高知ロケが終わった(高知競馬場)
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▼9月23日朝刊掲載
【方言指導さん】 本職は役者なが
渡瀬恒彦さんや賀来千香子さんら出演者に本番前、そばに寄って何やら話し掛けている女性が一人。配役の一人でもなく、メイクさんや照明、カメラスタッフとも明らかに感じが違います。
土佐弁を指導する岡林桂子さん。高知市生まれで青春時代を地元で過ごし、役者を目指し東京へ。本職は役者さんです。
舞台などで活動する一方、役者仲間の縁あって5年ほど前から映画やテレビドラマで方言指導も。NHKの大河ドラマ「新選組」などに携わり、今回が6作目です。
本番前でピリピリしている役者さんに、イントネーションの間違いなどを指摘する岡林さん。「事前にコミュニケーションを取って、役者さんの人柄も知っておかないと」「最優先は芝居の出来。アドバイスに行くタイミングの見極めが肝心」。気遣いもひとしおのようです。
せりふは「…やき」「…ちゅう」など土佐弁だらけ。「普通の台本の20倍以上は苦労する」(渡瀬さん)、「感情を入れて話すとどうしてもおかしくなる」(賀来さん)など役者さんも苦労している様子。岡林さんの指導の成果は映画で。 (随時掲載)
【写真説明】主演の賀来さんに土佐弁の言い回しをアドバイスする岡林さん(高知競馬場)
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▼9月17日朝刊掲載
【森川監督】 おっとりです
撮影現場を仕切る森川時久監督、75歳。うぐいす色のベストに綿のパンツ、灰色の帽子、こはく色の眼鏡…。人柄はとてもおっとり、のんびりしています。
動きの悪いスタッフがいると、主演の渡瀬恒彦さんは「何やってんだよぉ」などと、かなりすごみを利かせるのですが、監督さんはあくまでおっとりと、「じゃあ、本番よ〜い」。「世界のクロサワ」のような「監督=カミナリ」というイメージはまるで感じさせません。
「カミナリ? (演出は)人それぞれ」。淡々と話すわけです。
その森川監督。新しいシーンの撮影前には台本片手にふわふわ、現場を歩きます。あっちへ歩いて何かしら考えておられるな、と思いきや、今度はこっちへ歩いて、何かを抱きしめるように両手を前に出し、小さくうなずいたり。で、またてくてく…の繰り返し。なんでも、役者さんとカメラの動き、背景や構図などを細かく、きっちり確認しているそうです。
監督の仕事は「撮影や照明など、各部のエネルギーを一つのショットに集結させること」と語ります。簡潔、簡明。しかしそれがどれほど難しい作業であることか。
ふと、監督さんの足元に目がいきました。太マジックで「かんとくサンダル」と書かれた黄色いテープがペタッ、と張ってあります。
「すぐなくしちゃうんで…」。かわいく照れ笑いする監督さんでした。 (随時掲載)
【写真説明】シーン構成を確認する森川監督=左から2人目(高知競馬場)
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▼9月15日朝刊掲載
【エキストラさん】 「暑苦しいのだけどね」
高知競馬場に11、12の2日間、全国のウララファンが観客役のエキストラとして大集合しました。その数ざっと1500人、もちろん“ノーギャラ”。交通費も宿泊代もすべて自腹です。
撮影はまず、「武・ウララ」で沸いた3月22日の入場口のシーンから。入場定員に達し、シャッターを下ろしたことにより、観客と警備員が“衝突”するというなかなかに激しいシナリオです。
3月のシーンなので皆さん、冬服。無償の出演者にはいささか失礼ながら、それははた目にも非常に暑苦しい集団であって、神戸市から来た東方俊斉さんは「覚悟してたけどめっちゃ暑い。倒れそう」。なんだかフラフラです。
しかし、そこはこの映画を不朽の名作にすべく集まった皆さん。本番になると、シャッターをバンバンたたき、警備員につかみかかり、「入れてくれ!」と迫真の演技。監督の「オッケー」もまるで耳に届きません。
自ら警備員役で出演して、群衆の中でもみくちゃにされた同映画のプロデューサー、速水真吾さんは「疲れた…」とだけ言い残して去っていきました。
それにしてもご覧の光景、なかなか鬼気迫る一場面ではありませんか。右でほえるお兄さん、左で叫ぶおばあちゃん。素人ならではのすごみ、ど迫力を感ぜずにはいられません。 (随時掲載)
【写真説明】おい、こらっ、と迫真の演技を見せるエキストラたち
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▼9月11日朝刊掲載
【“さつかん”】 「本物は映らない」
「撮影部」は大所帯。カメラ1台を5人がかりで操作しています。
ファインダーをのぞく「カメラマン」、ピントを調節する「フォーカスマン」、明るさや色を操作する「ビデオ・エンジニア」、バッテリー交換などを行う「補助」、そして、部を統括する「撮影監督」、通称“さつかん”です。
その“さつかん”、坂本典隆さんが話します。
「(私は)古希に足を踏み入れかけてる」「自然をいかに切り取るか。撮影で一番重点を置いている点です」
真っ白な髪をなびかせながら、静かに深い一言を発します。
そこに突然、ジョジョーと“雨”。梅雨時季の厩舎(きゅうしゃ)のシーンを撮ろうと、ホースとじょうろで雨が降らされます。思いっきり“不自然”です。しかし、さつかんは「本物(の雨)は映らない」。さらりと言ってのけるわけです。
目下、撮影部は11、12日のことで頭がいっぱい。全国から約1200人のエキストラを動員し、7台のカメラでレースシーンを撮影するのです。
「本番は一発勝負。失敗は許されない。ここが一番の勝負場」
馬同様、部員全員“いれ込んで”います。 (随時掲載)
【写真説明】「不自然」な雨も「自然」に映るらしい(高知競馬場)
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▼9月9日朝刊掲載
【ガッツさん】 「高知は郷ひろみだ」
「伝説の男」、ガッツ石松さんが映画「ハルウララ」の撮影現場にやって来ました。不登校だった小学生の息子がウララに勇気づけられ、学校に行くようになった。そしてそのお礼に高知競馬にやって来たお父さん、という設定です。
最初の撮影は食堂で宗石大調教師(渡瀬恒彦さん)に話し掛けるシーンですが、閉め切った屋内はかなりの暑さで、ガッツさんの額からは汗がポタポタ…。
「高知は郷ひろみだ。アッチッチだよ」
さすがはガッツさんです。暑さの表現が違います。渡瀬さんがガッツさんの頭にコールドスプレーをかけると、
「オッケー牧場。オッケー牧場」
もう、上機嫌です。
せりふはかなり練習したそうです。が、方言には悪戦苦闘のようで、本番直前までぶつぶつ…。
「調教師さんでしょうか…。でそうか…」
で、いざ、本番。
「宗石調教師さんですろうか」
さすがです。なんと一発で監督OKです。
「自然にやってるだけ」「今日の撮影は完ぺき。オッケー牧場」。笑って、さっそうと現場を去っていきました。 (随時掲載)
【写真説明】コールドスプレー、気持ちいい(高知競馬場)
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▼9月7日朝刊掲載
【渡瀬さん】 「めっ」と求道師
本番前、撮影の手伝いに来ていた調教師さんの携帯電話が大合奏。
「ファンファーレなんか聞いたら馬が走りだしちゃうじゃない」と周囲を和ませたのは、主演で宗石大調教師役の渡瀬恒彦さん。笑顔です。
気を取り直し「はい、じゃあ本番!」。
ピロリロリ〜ン♪ 今度は、出演馬の世話に来ていた厩務(きゅうむ)員さんの携帯電話のカメラ作動音。
「ありゃりゃ」
渡瀬さん、にこにこ顔で歩み寄り「音も撮ってるんだからね、鳴らしちゃ駄目だよー。めっ」。若い厩務員の左腕をしっぺでペチンペチン。
かつて東映映画「血桜三兄弟」で親分衆に刃(やいば)を向ける地方競馬のノミ屋を演じた硬派ワタセ。今や「十津川警部」でおなじみのにこやかなおじさま、と思いきや。
「おいおいおい、始まってからそういうの、やめねえか!!」
本番に入って「待った」を掛けたスタッフには、縮みあがるような怒声を一発見舞った。
「なぜ、この馬が人気があるのか。なぜ、負け続けても淘汰(とうた)されないのか。私には分かりません。この高知ロケで探りたい…」
記者会見で求道師のごとく話した渡瀬さん。根っからの役者さんです。
映画「ハルウララ」の高知ロケが8月末から進行中。撮影現場や舞台裏を紹介します。 (随時掲載)
【写真説明】「めっ」。本番中はお静かに(高知競馬場)
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