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第9回移動高知新聞
ふれあい高新IN中芸

馬路こども新聞

 第9回移動高知新聞「ふれあい高新in中芸」の企画、中芸地域の子どもたちによる「こども新聞」。シリーズ2日目は馬路村の子どたちの出番です。「日本3大美林」として有名な魚梁瀬杉の魅力を余すことなく伝える現地ルポのほか、「ゆずの森構想」の中に位置付けられたテーマパーク計画やエコアス馬路村の紹介など。知名度同様、“全国区”の元気さで、村のさまざまな素顔を紹介してくれました。

魚梁瀬杉の魅力実感 千本山の巨木訪ねる 魚梁瀬中

「一目千本」の魚梁瀬杉の林を地元の人たちの案内で歩きました(馬路村魚梁瀬)  私たちの住む魚梁瀬には、日本3大美林として名高い魚梁瀬杉があります。魚梁瀬杉の特徴は枝下高が高く、枝の張りが少ないことです。油分が多いため光沢に優れ、特有の香りがあります。また、美しい淡紅色の木肌に、さまざまな木目が出るので天井板として人気があります。

 魚梁瀬杉の値段は、昔は今の約1・5倍したそうです。価格が落ちた理由は、不景気の上にあまり木を使わない家が増えたからです。安い外材も入ってきています。

 先日、魚梁瀬杉が使われただろうとされる金林寺が、国の重要文化財に指定されました。木の家は100年以上もつという利点があります。鉄筋の家の耐用年数は25年から30年程度だそうです。木の家が少なくなったのは建てる手続きが面倒だし、木の家を建てる大工さんが少なくなったことが関係しているようです。

 魚梁瀬木材や魚梁瀬営林事務所で伺った魚梁瀬杉の魅力を、実際に確かめるために、千本山に登ることにしました。

 千年橋を渡ると、最初に見られるのは橋の大杉。樹高は50メートルを超え直径は2メートル以上あります。樹齢300年のこの大杉は、巨木百選に選ばれている、千本山のシンボルです。「一目千本」と言われる通り、丸太を組んだ階段を登ると杉の大木が林立しています。次に見えるのは親子杉。大きな幹と根元から分かれた小さな幹が、かわいく二つ並んでいます。

 杉の根っこを踏みつつ進むと、「鉢巻落とし」に着きます。その辺の杉は鉢巻きが落ちるほど見上げないとこずえが見えない、という由来でつけられた名前です。その名の通り、高さ40メートル、直径90センチほどの真っすぐな杉が並んで立っていました。見上げていると首が痛くなるほどです。

 「コ、コ、コ、コ、コ」というキツツキが木を突っつく音が響いてきました。急斜面を苦労して越えると雨天観測所の下に到着。ここで観測される年間雨量は、4、500ミリに上るそうです。その豊かな水が魚梁瀬杉をはぐくむのだと思いました。1、084メートルの頂上に着いたときには全員ばてていましたが、達成感が汗をぬぐう顔からはうかがえました。

 千本山は保護林に設定され、今後一切この区域の木は、伐採しないことに決めています。天然杉の巨木はこれからも守られていくことになります。私たちは千本山に登ってあらためて魚梁瀬杉の魅力を実感しました。すばらしいこの自然の遺産を、ずっと大切にしていきたいと思います。

 一方、魚梁瀬人工杉は計画的に育成され出荷されています。魚梁瀬杉の良さがもう一度注目され、建築物やさまざまな所に活用されることを願っています。

 【写真】「一目千本」の魚梁瀬杉の林を地元の人たちの案内で歩きました(馬路村魚梁瀬)

 (山崎太朗、後藤英理華、島田奈美、西岡愛美、山崎和幸記者)

夢膨らむテーマパーク 「ゆずの森構想」に期待 馬路中

馬路村農協専務の東谷さんに「ゆずの森構想」について聞きました(同村農協)  私たちの村では、「ゆずの森構想」の中で、小さなテーマパークを造る計画が進められています。そこで、馬路村農協専務の東谷望史さんにお話を聞きました。

 計画では、ユズ製品の増産に対応するため、より大きな工場やレストラン、シャンプーやせっけんなどを作る工場を建設することなどが決まっているそうです。順調に行けば、働く場所が増えるので定住する人が増え、子どもも増えていくのではと期待が高まります。

 テーマパークは5年で完成を目指しているそうです。私は中学3年なので、専門学校や短大を卒業する年に完成することになります。馬路村に帰って働くならば、このテーマパークで働くのもいいかなと思っています。

 ところで馬路村では村内に高校がないため、1度は村外に出ていきます。しかし学校を卒業したら、村に帰るか、県内や県外で働くかを決めなくてはいけません。そこで、馬路中の3年生(10人)やその親に、どのような考えを持っているかアンケートを実施し、働きたい場所や仕事内容、村の将来などについて答えてもらいました。

 「学校を卒業したらどこで働きますか」という質問では、県内が6人で、4人が東京などの都会という結果でした。私が思っていた以上に都会という意見が多かったです。私自身は県内と答えました。なぜなら県内だと村に帰ってこようと思えばいつでも帰ってこれるからです。

 「テーマパークを造るという計画があることを知っているか」では、10人中7人が知っており、多くの人が村のことについて関心を持っているんだなと思いました。

 また、親へのアンケート結果では、「1度は村外に出て働き、広い世界を知り、その後村に帰ってもらいたい」と「本人の意思に任せる」という答えが多くありました。

 私たちが帰りたいと思ったとき、働く場所があり、楽しめるイベントやスポーツが活発に行われている村であってほしいと願っています。このテーマパークは、私たちや親、そして村民の夢をかなえるために造られるんだなと思いました。

 【写真】馬路村農協専務の東谷さんに「ゆずの森構想」について聞きました(同村農協)

 (山中舞記者)

ダム湖に眠る魚梁瀬 跡地で昔の気分味わう 魚梁瀬小

こわれたお風呂に入って、水没する前の気分を味わいました(馬路村魚梁瀬)  馬路村には、二つの魚梁瀬があります。今、住んでいる丸山台地と、38年前にダム湖に沈んだ魚梁瀬です。丸山台地から、昔の学校や保育所の立っていた跡地が見下ろせます。でも、雨の少ない10月から翌年の5月ぐらいまでしか姿を見せてくれません。

 昔のくらしを調べようと跡地へ下りてみました。運動場だった所へ行くと、土台しか残っていなかったけれど、子どもたちの遊ぶ声が聞こえたり、井戸や風呂、食器のかけらなどから昔の人々のくらしが見えたような気がしました。薪でわかすこわれたお風呂に入って、38年前の気分を味わってみました。

 写真集や歴史の本で調べたり、お年寄りに教えていただいて、沈んでいるもう一つの魚梁瀬のことを探してみました。

 ダム建設が決まるまで、何度も話し合いました。北川村にダムの予定もあったそうですが、魚梁瀬に決まり、これからどうなるだろうかと不安になった人がほとんどでした。何より先祖から受け継ぎ育った土地を離れることはつらかったそうです。水没前に引っこしが終わると家や木々を倒し、全部燃やした時は、涙が止まらなかったそうです。落ちていた食器のかけらや切り株にはこげあとがついていました。

 交通が不便で病人が出ると一番困ったけれど、人々はやさしく、家族が協力してくらしていました。子どもたちは200人以上いて、教室は狭かったけれど、勉強もがんばっていたし、自然と思いきり遊んでいました。年に一度の神祭が楽しみなのは、今の私たちも同じだと思いました。

 ほとんどの人がもう一度昔の魚梁瀬を見てみたいそうです。住んでみたい人も何人かいました。魚梁瀬や時代は変わったけれど、育った思い出や家族のきずなやふるさとを大切に思う気持ちは変わらないと思いました。

 便利で、くらしがよくなることを思って、昔の人がダム建設を決断したのです。家は沈んでも、人々の願いや気持ちは私たちが受けついでいかなくてはと思いました。

 皆さんには大切に思うふるさとがありますか?

 【写真】こわれたお風呂に入って、水没する前の気分を味わいました(馬路村魚梁瀬)

 (門田梓歩、後藤麻希絵、滝本和子記者)

山の大切さ学ぶ 林業復活で元気な村に 馬路小

木材について、いろいろなことを教えてもらいました(馬路村馬路の村貯木場)  馬路村は96%が森林です。ユズで有名な馬路村は、昔は山の仕事で栄えた村でした。しかし今は、山の仕事は元気がなくなってきています。そこで、私たちは山の現状を調べるため、村の森林組合の小松博さんに、山の仕事場を案内してもらうことにしました。

 まず、案内してもらったのは間伐をした山です。間伐は曲がった木や育ちの悪い木を切って、木と木の間をすかし、木の育ちを良くする作業です。間伐した山は、土がふかふかで、たい肥のようでした。日もあたり、風通しもよく、とても気持ちが良かったです。

 私たちの行った山は、植林してから30年ほどの山で、これくらいで家の柱にできると聞きました。今は、10本のうち3本程度を間伐するそうですが、木がよく売れた昔は全部の木を切って売っていたそうです。

 次に林材加工場で、間伐した木を機械できれいな材木にするところを見せてもらいました。皮のついた木があっという間にきれいになり、びっくりしました。さわるとすべすべしていて、真新しい木の香りがしました。

 最後にその間伐材を利用し、木のトレイやうちわを作っている「エコアス馬路村」に行きました。木を蒸らし、スライスし、交互に張り合わせて丈夫にし、型をとって製品を作り、消毒してお客さまに届けます。私たちの村ではこんなに手間ひまをかけて森林を生かした物をつくり、森を大切に育てていることがあらためてわかりました。

 材木や木のトレイがどんどん売れて、林業が復活し、村がどんどん元気になってほしいと思っています。

 【写真】木材について、いろいろなことを教えてもらいました(馬路村馬路の村貯木場)

 (乾友哉、小笠原考洋、清岡直樹、井上真歩、久保勇太、尾谷千秋、門田理良、川本あゆ、窪田萌乃、田中澪記者)

私たちの主張

自然と共存の産業育成を

 「馬路村」という名前を皆さんは耳にしたことがありますか。現在、馬路村はユズ製品の成功をきっかけに、全国的に名前を知られるようになってきています。それは村の人たちのさまざまな努力の証しだと思います。ほかにも「おらが村心臓やぶりマラソン」や「おしどりマラソン」もあり、小中学生がボランティアで運営に参加するなど村民が一体となって元気な村づくりを行っています。

 林業では、何と言っても魚梁瀬杉があります。天然林は樹齢200年以上で自然の雄大さを感じさせてくれます。人工林は計画的に育てられ、木材が出荷されています。杉の木の良さが見直され、いろんな所で使われたらと思います。また森のよさを総合的に売り出すエコアスという新事業も始まっています。村を活気づけるため多くの村民ががんばっているのです。

 しかし課題もあります。一つは働く場所が少ないことです。ユズやエコアス、林業だけでは十分に賄えない部分があるようです。雇用の場が増えると、人口増加につながり村に活気がでてきます。けれど大きな工場などを造ると、自然を破壊する恐れがでてきます。私たち一人ひとりが自然を大切にし続け、自然と共存していくことのできる産業が育つことが理想です。

 もう一つは、合併問題です。合併して村の名前が変わると、今までの努力が無駄になるような気がします。村の財政状態や行政の効率化などを考えると、合併も必要なことなのかもしれません。けれど、「馬路村」という名前と、小さな村ながらみんなががんばってきたということは伝えていきたいと思います。

 とにかく、馬路村は今までの姿であってほしいです。子どもたちがたくさんいて、活気あふれる村。少子高齢化、そんな言葉を忘れてしまうような村であってほしいです。そして、美しい自然を自慢できる村でありたいと願っています。

 (馬路中・魚梁瀬中記者一同)

 首長メッセージ・上治堂司村長  元気な声絶えない村に

 村内4校の小中学生が村の将来を思う気持ちが十分伝わってきます。私たちの村は96%が森林で、豊かな自然に恵まれた地域で、「元気で明るく自立できる村づくり」を進めています。村に人々が定住していくには当然産業が必要であり、地域にある資源、財産を有効に利活用し、農業・林業・観光を産業の3本柱に村民みなで頑張っています。

 「農」は、農協を中心にユズ加工製品を全国に販売し、雇用の場の拡大、交流人口の増を考えて「ゆずの森構想」の実現に向けてスタートしました。「林」は産業として光の見えない状況ですが、環境に優しい商品の開発を進めながら、「森の仕事まるごと販売計画」を行っています。「観」は馬路・魚梁瀬の温泉施設を中心に体験型観光に取り組み、先人の残してくれた魚梁瀬千本山、国の重要文化財に指定されました金林寺薬師堂も広くPRしていきたいと思っています。

 最後に、“赤ちゃんの元気な泣き声、子どもたちの元気な遊ぶ声、お年寄りの笑い声の絶えない村”にするため、みんなで頑張りましょう。

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