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「そんなこたない。わしゃ、期待しちゅうがじゃき。こじゃんと期待しちゅうがじゃき!ほんまぜ」
南国市の後免町商店街。東部に比べ、ごめん・なはり線開業への盛り上がりに欠けるこの町で、「皆さん、期待薄なんですね?」と声を掛けると、その店主は太い首を思いっ切り、ぷるんぷるんと振った。
約二百五十メートルの商店街筋のほぼ真ん中にある時計店の主人、中村昭弘さん(56)。景気低迷などで客足が細る中、「このままではつぶれる」と多額の投資で店を改造したのが四年前。古い柱時計など一千点余りを集めた時計博物館を二階に造り、ばん回を期している。
「ちっちゃな店にとったら、のるかそるかの大勝負。それもこれもまだ町に期待があるき。線路ができたら、後免駅か後免町駅で降りた人が商店街をぷらぷら歩いて、往来が増えて…。いや、増えんと困るのよ」
日中でも半分近い店のシャッターが閉まる同商店街。土曜日の夜市は約十年前、人が来なくなって中止した。新規出店が続く東隣の香美郡野市町と、西隣の高知市に押し挟まれて商圏も活気も減退。果たして後免は大丈夫なのか?
「それよ。けどね、後免は東部の玄関口。元気な店がいくつか出てきたら、点が線になる。『面白い店がある』『いい腕の時計職人がおる』と必ず話は伝わる。バイパスへ出店せな商売は無理、という人もおるが、あきらめたら終わり。商店街もまだやれるはず」
中村さんは、うんうんと力説し、「わし、子供のころから辛抱強い」と腕組みした。
南国市商工会の幹部は「なはり線開業で南国から野市に買い物に行く人も出る。プラスよりマイナスと見る人が多い」と表情は厳しいが、「やりますよ、活性化。長い商店街を生かしたフリーマーケットに空き店舗の活用…。盛り上げの仕掛けを練り上げる」。
ごちゃごちゃ言わん
「赤字とかなんとか、今さらごちゃごちゃ言うても仕方ないやいか。やらにゃあ、ねえ!」
開業ムードが日増しに高まる新設の安芸駅。木組みのしゃれた駅舎を見上げ、安芸市観光協会理事の小松昌平さん(34)が笑った。
市からの委託でパン屋や物産店などを駅舎で経営。安芸市のにぎやかな玄関づくりを目指す。
実はなはり線建設には反対だった。「造る勇気より、やめる勇気」と公言していた。小学校に入る前、廃止される土電安芸線の「さよなら電車」に乗った記憶がある。
「鉄道より車の時代と思って。けど、不満を言うのは主義じゃない。出来た以上はやる。結局、好きやね、安芸が」
「タイガースのキャンプ問題も、世間の人が心配するほどには僕らは落ち込んじゃあせん。それより日常のにぎわいをつくるのが大事」
七年前、仲間と設立した農業法人「グループふぁーむ」で無農薬栽培の野菜などを使ったアイスクリームの商品化を成功させ、県内各地の生産者グループの助っ人にも出向く元気者。大きな駅舎は、小松さんら若い世代のこれまでの実績と夢を担保にした市の投資だ。
「人が急にどっさり来るとは思わん。けんど、少しは来る。そこからよ、スタートは」
一番列車まで、あと十日。逆境は承知。土佐弁で言う「はみかえる」人々が、駅に降り立つ新しい客を待っている。
【写真】安芸駅舎内のパン屋で開業準備するスタッフ(安芸市矢ノ丸4丁目)
(平成14年6月21日付朝刊掲載)
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