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つきまとう赤字不安、競合するバス路線とのサバイバル競争…。厳しい課題を抱えるごめん・なはり線を「乗って残す」には、沿線自治体の一致団結した支援が不可欠。しかし、同線に対する自治体の思いに温度差がある点が、以前から指摘されている。
香美郡野市町西野。国道55号からなはり線「のいち駅」方面へ、新たに抜いた町道「駅前南北線」沿いに、大型量販店や大手外食チェーン店、コンビニエンスストアなどが次々進出している。駅が一つできることで、街並みが大きく変わることを如実に示す光景だ。
一方で、同町は今年三月、駅前広場の整備計画を当初の約六割に縮小した。予定していた起債がなくなったことや、財政難が理由。駐車場を兼ねたイベント広場の建設を見送り、経費約三億三千万円を節約した。
開業を目前にした突然の縮小だったが、「起債がなくなった以上、費用対効果を考えて過大な投資を控え、町の身の丈に合った規模に変えた。開業ムードに水を差す? そう思われても仕方ないが、行政としてやむを得ない判断」。
町企画課の宮崎文江課長は至って冷静だ。
大型量販店の進出などで危機感を強める地元商店街は、駅前広場を核に活性化策を模索していただけに残念がる声もある。しかし、「なはり線は赤字経営。のいち駅もどれだけの人が利用するか分からない。お金をかけ過ぎない方が賢明」―町民の間にはそんな慎重論が根強い。
民間募金集まらず
お隣、南国市の幹部らも「なはり線に乗って県東部へ行く市民はそういない。市にメリットが少ないのに建設へ協力してきたのは、近隣市町村へのお付き合いだから」と言い切る。
同市議会の門脇晃議長(58)は「当初、県は『阿佐線は将来きっと黒字になる』と説明していたのに、そんなめどは全く立っていない。赤字補てんのため、市町村は駅舎などの固定資産税までつぎ込むんだから、県ももっと負担すべきだ」と鼻息が荒い。
こうした不協和音や温度差は、沿線十五市町村が赤字対策で行っている民間募金計画を見ても明らかだ。市町村別の負担額は、五十五万―一千五百二十五万円。なはり線の利用見込み、人口規模などを基に割り当てられている。
昭和六十三年から集め始めたが、これまでに負担分を全額、もしくは一部でも集めたのは、安芸市や香我美町など五市町だけ。残る十市町村は十四年間ずっと、募金実績ゼロのままだ。
「そもそも町内に企業は少ないし、バブルがはじけて以降は不景気で、民間募金なんて口に出せる雰囲気じゃなかった」
「集まらなければ最後は村の予算から出すしかないが、村民一人一人がいくらかでも出し合ってこそマイレール意識が育つ。何とかしたいんだが…」
募金ゼロの市町村関係者からは、一様に苦悩の声が聞こえてくる。
沿線自治体は第三セクター鉄道の経営共同体。利用促進へ今一度、しっかりスクラムを組む必要があるのだが、開業ムードはいまひとつ盛り上がっていない。
【写真】設備が進むごめん・なはり線「のいち駅」。野市町は財政難や同線の赤字不安から駅前広場を縮小した(同町西野)
(平成14年6月20日付朝刊掲載)
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