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ごめん・なはり線(南国市後免―奈半利町、四二・七キロ)は七月一日開業へ、いよいよ秒読み段階に入った。着工から三十七年、県東部悲願のマイレールに沿線の期待は膨らむが、開業後は赤字経営が必至だ。なはり線は本当に、地域住民に親しまれる“足”となり、東部浮揚の起爆剤になり得るのだろうか。
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「年間の輸送人員は百四十五万人を目指す。(達成は)厳しいかもしれないが、決して不可能な数字ではない」
今年二月、土佐くろしお鉄道が四国運輸局になはり線の運賃の認可申請を行った際、同社の岡村毅郎社長(67)は記者会見で力強くこう述べた。
同社が運行している中村線(窪川―中村間、四三キロ)の十三年度の乗客数は、八十三万四千人余り。宿毛線(中村―宿毛間、二三・六キロ)が四十三万人で計百二十六万人。なはり線の目標はそれを大きく上回る。
中村、宿毛線とも利用者が年々減少している実態を考えれば、なはり線が掲げる目標は高い。逆に言えば、同社がなはり線にいかに期待しているかが分かる。
ではなぜ、百四十五万人なのか。根拠になっているのは、南国市から安芸郡東洋町までの十五市町村でつくる「ごめん・なはり線活性化協議会」(会長=松本憲治・安芸市長)が、十三年十月にまとめた需要予測だ。
なはり線の類似線のJR土讃線「伊野―土佐久礼間」の鉄道利用率を、なはり線沿線の人口などに当てはめて算出した。それによると、開業から四年間、沿線二十駅の一日の乗車人員は合計四千人前後。これを単純に年換算すると、約百四十五万人となるわけだ。
温存したい基金
「一般的に交通機関の需要予測は、住民理解や建設予算獲得のため多めにはじく。だから、当たったためしがない」と言うのは県のある関係者。
それはともかく、仮に百四十五万人が乗ったとしても、なはり線は黒字にはならない。土佐くろしお鉄道の試算では、開業初年度(十四年七月―十五年三月)の赤字は五千七百二十七万円。以後、十七年度までは毎年一億円を超える。
赤字に備えて、沿線市町村は「鉄道経営安定助成基金」を積み立てており、十八年度に約八億円になる見込み。この基金を簡単に食いつぶさないようにと、駅舎などのある十一市町村は、同社から受け取る固定資産税も同基金に繰り入れる。
同税は年間六千三百万―一億一千万円余りになるため、「固定資産税分に国の補助(五年間)も合わせれば、毎年の赤字を相殺できる。市町村が出してくれる八億円を温存できるんです」と岡村社長。
毎年の赤字を一億円余りに抑えるには、年間百四十五万人の乗客確保が至上命題。同社はこれまで、百四十五万人を死守すべきラインとして開業準備を進めてきた。
ところが、開業目前になった今、同社の戦略が大きく揺らいでいる。土佐電鉄が、なはり線と競合するバス路線「安芸線」の運賃大幅値下げを決めたからだ。
【写真】大勢の家族連れでにぎわうごめん・なはり線の試乗会。土佐くろしお鉄道は年間145万人の乗客を見込んでいる(安芸駅)
(地域報道部取材班)
(平成14年6月17日付朝刊掲載)
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