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あれよあれよという間に高知競馬の廃止論が高まっている。
平成12年2月に出た「高知競馬の今後のあり方に関する提言」に盛り込まれていた存廃決断のめどは16年度だった。当事者の県競馬組合自身、この秋までは「まだ1年ある」と踏んでいた。ところが…。
ほんの1カ月ほど前から唐突に前倒し廃止論が台頭した。問題にするのは、要するに80億円の累積赤字。経営改善があり得ないことを前提に、「県民につけを回すつもりか」「廃止を」と声高く主張する。
経営改善は、もう無理なのだろうか。
「違う!」と熱く語る一人の仕事師がいる。
「どんなに努力しても無理というなら県、市が税を投じて清算するしかないでしょう。そんなことをすれば数百人の雇用が失業に変わります。各種の税収入や経済効果も消えてしまいます。高知競馬の存在意義、商品価値、波及効果は何かを考えてほしい。経済効果はどうか、中央競馬の故障馬を再生させる高い技術価値はどうか、と」
高知競馬の騎手が体を張って繰り広げるレースをつぶさに見つめ続ける契約実況アナウンサー、橋口浩二さん(36)。
この人の登場で「高知のレースが変わった」と話すファンは多い。レース展開にタイムや血統なども織り込む職人芸は、今や全国でも指折りの存在だ。
実況を担当して9年目。「競馬のけの字も知らなかった」が、自費で全国の競馬場を訪ねて知識を吸収した。アメリカや豪州の競馬場にも足を運んだ。「スポーツとしての競馬の素晴らしさを伝えたい」。生き生きとそう話す。
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橋口さんは数年前から「高知競馬の存廃が日本の競馬全体の浮沈に連動している」と思っている。
日本の競走馬生産は年間約8000頭。半数の約4000頭が中央競馬で走り、もう半数が地方競馬で走って畜産事業が成り立っている。
だが、その地方競馬がどこも苦しい。13年度の単年度収支では26の全地方競馬が赤字。この2年間で3カ所が廃止された。
このままだと地方競馬は次々と廃止に追い込まれることになる。競馬場が減れば別の競馬場が持ち直すかというとそうではない。地方競馬は他県にほとんど売り場がないからだ。
「すると競走馬の生産頭数は減り、北海道などの生産牧場も壊滅する。つまり地方競馬は中央競馬(国)を支えているんです。だから、地方競馬は国の問題でもあるんです」
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昭和50年代にも全国で存廃が論議された時期があった。そのとき、和歌山の紀三井寺競馬がつぶれた。
「日本の競馬のもろさは行政の運営に問題があると思うんです。民間と違って行政は当事者意識が見えにくい。民営ならつぶれる前に手を打っています。その証拠に、欧米の競馬は何百年も続いています」
高知競馬が助かる道はあるのだろうか。
「国レベルで議論が始まっていますが、競馬は将来、中央と地方の運営を一本化する以外に方法がないと思うんです。四国に一つしかない高知競馬を何とか継続させて、その流れに組み入れられるようにする。来年答申が出るようですし、その可能性はもう見えていると思うんです」
【写真】双眼鏡と予想紙を手にレースを実況する橋口さん(高知競馬場)
(平成14年12月27日付夕刊掲載)
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