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「このままじゃ、競馬はつぶれちゃうんです。従事員さんの待遇を見直してもらってもいいんじゃないでしょうか」
高知競馬場の厩舎(きゅうしゃ)団地。多くの仕事師たちが、話しづらそうに口を開く。
「従事員さん」
開催日に窓口で発券などに当たる日々雇用の臨時従業員のこと。高知競馬の従事員たちは原則として高知競輪の従事員でもある。つまり1人の従事員に使用者が二つある形態。
すべて手作業で発券や払い戻しをしていた昭和50年代、従事員の職場は「戦場」だった。馬番の組み合わせごとに窓口で発券し、レース終了までに集計…。「年の瀬の銀行より忙しい」と言われた。
従事員たちは組合を組織し、県と高知市から出向した経営陣と交渉した。経営陣は次々と要求を認め、従事員らの待遇は改善された。競馬の場合、厩務員らはほとんど身分保障はない。彼らから見れば、従事員の待遇は信じられないほどよくなった。もちろん競馬の売り上げがいい時代なら問題はない。問題は倒産の危機が迫っても経営陣が従事員問題にほとんど手を付けなかったことだ。
経営陣と従事員との関係を振り返ると、59年には競馬組合議会で賃金10%カットの予算案が可決されたことに従事員組合が反発、同年4月当初の競馬開催は中止に追い込まれた。
その前年度には65歳定年制を導入し(それまでは定年がなかった)、その代償のような形で退職一時金と同じ性格の離職餞別(せんべつ)金制度(同様の制度は高知競輪にもある)を設けている。ちなみに平成元年度からの10年間に県競馬組合が従事員に支払った離職餞別金は、324人に計8億8400万円。
このほか競輪と交互に年数回の人権研修への参加を勤務日とし、日当を支給している(近年は年1回に減少)。消防訓練と健康診断の日も日当を出し、勤務日扱いとする。無論、年休もある…。
ちなみに高知競馬の従事員は7時間労働で、日給は勤務年数の長い人で最高9900円(昨年度までは1万890円)、最低は6420円。売り上げに対する13年度の従事員賃金比率は4%で、廃止が検討されている栃木県営競馬に次いで全国2位の高さ――。
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資料で見ると、平成6年度の従事員数は533人いた。現在はそれが約260人に減り、来年1―3月は68人を休職させる雇用調整を行う。
6年度といえば、コンピューターの導入が進んだ後。経営悪化を招きながらも、競馬組合の経営陣(つまり県と高知市)が過大な従事員を抱え続けていたことが透けて見える。それも高知競馬の負債を膨らませる原因となった。
生活給の賞典奨励費を昨年度より約4億円切り下げげられた仕事師たちの声。
「みんなが痛んでこそ、おれたちも頑張れる」「雇用体系を変えるしかないのではないか」
一人ひとりの従事員さんに何ら問題はない。仕事師たちが怒りの声を向けるのは、声の大きいところに譲歩し、経営的には無策を続けた歴代の経営陣たちだ。存亡の際にある競馬場の空気は、重い。
【写真】馬を笑顔で見つめる子ども。親子連れの見物客も増えているが…(高知競馬場)
(平成14年12月25日付夕刊掲載)
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